ダーイシュはテロ活動への資金集めのために、なんと市民の同情を利用していたのだ。イタリアで見つかったジハード主義者(テロリスト)らの思わぬ資金源とは、シリアの児童に資金を集める慈善組織だった。
FATFはこの情報について独自の調査を行った。その結果について、FATFのデビッド・リュイス秘書官はRTからのインタビューに次のように語っている。
このスキームは次のとおり。欧州全土の多くの個人、法人がイタリアのある銀行にある慈善組織の口座に資金を送金した。そしてこの資金はトルコへと送られ、そこでダーイシュのリクルート員の口座から引き落とされた。このダーイシュのリクルート員は非商業組織の助けを借りてテロ組織のための資金を集めていたのだ。
ダーイシュがテロ活動の資金源に慈善組織を使っているというニュースはもちろんショッキングな話だ。だがテロリストらの資金源はこれだけには留まらない。
ダーイシュは石油や歴史遺産を違法に販売し、ゆすりや人質取引で1日に数百万ドルを稼いでいる。こうしたこと全てがダーイシュを世界で一番金持ちのテロ組織に仕立て上げている。
FATFのリュイス秘書官は、急進主義者への資金の流れを断つために必要な尽力を全ての国が行なっているわけではないとして、さらに次のように語っている。
「必要な措置を多くの国が無視している実態だ。法を採択し、テロ対策および調査のためにマネーロンダリング諜報活動機関を創設しておきながら、提案されている措置を効果的に実現しようとはしていない。特に資金凍結にこれが言える。我々が調べた結果、3分の2の国が国連のリストに入っているテロリストへの資金を未だに凍結していない。この措置を実現化している国も実現化をあまりに急いでいない。結果を出すためには分刻みで行動せねばならない。だが大多数の場合、政権が何かの策をとるまでには2日から1ヶ月が費やされる。そしてこの間に資本は跡形もなく消え去ることも稀ではない。」