久しぶりに行われた海上における事態をめぐる中国とのハイレベル対話(今月7-8日に中国で行われた)で採択された決定に、日本政府が答えた形だ。この対話では具体的な成果が出た。海・空に関するコンタクトのメカニズムを早期に確立する、ということが約束された。今後さらに両国の海上保安機関の協力の窓が拡大していくことが決められた。海に関する政策や法律について意見が交換され、対話とコンタクトが強化されることも決まった。海上における救助活動に関する合意の早期調印についても意見交換が続けられることとなった。
来年前半には今度は日本で海をめぐるハイレベルが行われることになった。
金曜北京で行われた日中経済協力関係協議もそれに劣らず重要な二国間コンタクトだ。これは来春に予定されている日中ハイレベル経済対話の、いわば総仕上げ予行練習である。中国側からは汪洋(おう よう)副首相が参加する予定だ。
専門家らによれば、日中両国与党間の交流メカニズムの枠内で先日行われた第5回会合も重要だという。このメカニズムは両国関係が困難な時期を迎えたときに設立されたものであり、今こそかつてなく必要とされているものである。自民党の谷垣幹事長と公明党の井上代表が李源潮(り げんちょう)副主席と兪正声(ゆ せいせい)中国人民政治協商会議全国委員会主席によって受け入れられたことも偶然ではない。
両国関係の雪解けの傾向は予見可能なものであった。スプートニクの取材に対しそう語るのは、極東研究所のヴィクトル・パヴリャチェンコ氏だ。
「これらの事象は偶然ではない。専門家レベルでは、全てがその方向に進んでいることは明らかだった。今年のはじめ時点で、基本的に、中国も日本も係争諸島の問題は棚上げにする方向で一致していた。このシグナルは米国にもとどけられた。米国に対して敵対的というよりはむしろ肯定的な立場の中国との関係をはっきりさせることが米国にとって非常に重要であることは、全くもって明らかだった。中国と日本の関係における今の潮流は、問題が二国間フォーマットでなく米国も含めた三カ国フォーマットで解決されることを目指している。もちろん、このフォーマットにおけるあらゆる進捗に、『米中関係がどれほど露中関係より有益であるか』を中国に見せつけるという米国の策動が伴うであろう」。
もうひとつ明らかなことがある。日中関係雪解けへの潮流を米国が支援することに伴い、中国を政治的・軍事的に抑止するための日本の役割がさらに活発化する、ということだ。日米同盟そのものが、中国抑止を目指したものなのだから。東アジアの情勢変化におけるこの傾向を見直すつもりは日本にも米国にもない。