第1のシナリオはプーチン大統領が「ダーイシュ(IS、イスラム国)」との戦いの合意プロセスで「オバマ米大統領をまんまと騙し」、ロシアに都合のいい条件を押し出すというもの。
移民の流れを止める合意の枠内で合同の尽力が行なわれた結果、独首相をはじめとする欧州指導者の肩から重荷が下ろされる。その結果、メルケル氏は欧州実業界の代表らの説得に負け、反露制裁の緩和に同意する。こうしてプーチン氏は自分に必要なものを全て手に入れる。プーチン氏は中東における自らの影響力を確信し、ロシア最大の貿易パートナーである欧州に対し、譲歩にでるよう強要する。
他のシナリオでは、欧州では移民に反対する気運からEUが崩壊の危機を迎える。パリの連続テロ事件にプラスして止まらぬ難民の波がEUに政治危機をもたらす。メルケル独首相は退陣に追い込まれる。一方で次回の選挙での勝算がますます固いマリー・ル・ペン氏は外国人嫌いと恐怖を招く政治的気運の波を煽る。
ブルームバーグの考える不快なサプライズは、共和党に大統領選への出馬をとりつけたドナルド・トランプ氏がその後、選挙戦で躍進するというもの。トランプ氏は米国の税法を変革し、米軍を強化、またイスラム教徒の入国を禁じ、メキシコとの間に壁を建設するまで移民政策を厳格化する意図を実現化する。
悲観的予測には米国銀行へのサイバー攻撃の激化、中国経済の弱体化、英国のEU脱退、気候変動の悪化、イスラエルがイラン軍事施設に攻撃、ラテンアメリカの無秩序、中東諸国の石油採掘インフラをジハード主義者らが強奪した結果、石油価格の上昇も入れられた。