非原子力潜水艦の大増強。これが中国の海洋戦略A2/AD(反介入/区域阻絶)の重要な構成要素となっている。中国は原子力艦隊の増大を図っているが、非原子力艦隊はそれを上回るスピードで増強している。中国の新型非原子力潜水艦は基本的に空母団の対艦防衛網を突破する能力を有しており、空母にとっての脅威である。
10月の事象に参加した中国潜水艦が何にどれだけ成功したのかは測り難い。空母からどれだけの距離で、どのタイミングで発見されたのか、どのタイプの対艦ミサイルを積んでいたのか不明だ。中国海軍は潜水艦乗員の軍事教練を活発に進めている。中国はまた、米国および日本の潜水艦戦力の戦術に関する情報を大量に取得しようとしている。よって、こうした事象はこの後も再発する可能性はある。
中国艦隊が新たな力を定期的に誇示することは、明白な実践的目標をもっているという。中国潜水艦隊の活動性の段階的向上戦略、米国抑止の新たな可能性を全て誇示すること(たとえば、対艦弾道ミサイル、対衛星兵器など)、戦略拠点への新インフラ建設(たとえば南シナ海におけるそれ)、これらにより中国は、最小限のリスクで、東アジアにおける米国の活動性を狭め、段階的に押し出す政策に道を開くことが出来る。そうしながらも、中国は米国との直接的な対立には参入しないのである。
中国の軍事力誇示の目的が米国だけでなく、他の国々にもあることは、明らかである。もし中国が米国の空母攻撃グループの西太平洋へのアクセスを制限する能力を持ったなら、地域における米国の同盟国も、その新しい現実を考慮したうえでどのように自国の安全保障戦略を構築したらよいか、考えざるを得なくなるのだ。