沖縄県は国からの提訴に真っ向から対抗して提訴した。これにより日本では国と一県の間に同時平行して2つの裁判が進行することになった。
「沖縄県知事は抗議の気運の波にのって、まさに国に対抗する人物として選出された。状況の先鋭化を促したのは沖縄が常に抗議の気運度がより高い状態にあるという事実だ。過去数回の全国議会選挙で沖縄県からは共産党員が国会に送り込まれているのも偶然ではない。これは前代未聞の事態だ。これまでは共産党員が与党の選出者に勝つことはなかった。これは単にありえないことだったのだ。沖縄の野党は基地反対以外に、沖縄県は長年にわたって犠牲者である種のコンプレックスを十分に味わってきたと考えてきた。住民は沖縄県は政治的な駆け引きの代償にされ、米軍基地へと変えられてしまったと明確に意識している。これにプラスしてエスニックな問題も気運には絡んでいる。沖縄が日本の一部となったのは19世紀後半と、その歴史は浅い。しかも戦前までは沖縄は被差別民である感覚を味わってきた。」
「日本の司法は独立しており、この理由で国の決定に反した判決が採られることも稀ではない。だがこの場合、最高裁が国の決めた基地に関する方針に反対することはまずないだろう。米国との連合を支柱に国の安全を守ることは日本の外交政策の要となっている。しかも軋轢は首相が沖縄県知事との面談を拒否するところまで達してしまっている。このため地方レベルでは抗議市民に有利な判決がでるかもしれないが、その後は必ず抗告になり、最終的にはどちらの側にも有利な判決には至らないだろう。」
だが、基地の移転のような地方政権の許可なしには実現不可能な事柄については、日本の法律では地方政権にはかなり大きな権利が認められている。このため、ストレリツォフス氏は、国はいずれにしても国と地方政権の軋轢解決の道を探る必要にせまられるとして、さらに次のように語っている。
日本にある米軍基地の74%が沖縄県に集中している。また2200人を超す日本人が、自宅が基地空港の付近にあるため騒音からストレス、不眠に悩まされているとして裁判に訴えている。このほか、日本人は不慮の航空機墜落を非常に恐れている。だが日本人は長年にわたり米軍基地は日本の安全のために必要と思い込まされてきた。このため米国との連合を支持せざるを得ない。