音楽フェスティバル「日本の心」の主催者で、モスクワ音楽院付属の邦楽アンサンブル「Wa-on」の芸術監督も務める、音楽学博士のマルガリータ・カラティギナ氏は、「日本の心」フェスティバルについて、ロシアと日本の音楽交流の発展に大きく貢献していると考えている。カラティギナ氏は、「日本の心」フェスティバルのおかげで、近年、日本音楽に関するロシア人のイメージが変わったと述べ、次のように語っている-
「私たちがこの活動を始めてから17年の間に3000人以上の日本の音楽家たちがロシアに訪れました。これはとても重要なことです。そして私たちも日本を訪れ、そこで日本の音楽を演奏しました。日本の皆さんは、日本の音楽に対する私たちの愛情に驚かれていました。これは双方向のやりとり、非常に大切ではありますが、とても難しいプロセスです。いずれにせよ私たちの最初のステップは、非常に困難なものでした。なぜなら日本の音楽はロシア人にとって馴染みのあるものではなく、その響きはロシア人が想像する欧州の一般的なメロディー、ハーモニー、構造とは異なっているからです。日本の音楽は、ロシアの聴衆にとって完全に新しく、新鮮なものなのです。そのため昔は、コンサートで琵琶の演奏に合わせて物語が語られた時に、聴衆から笑い声が起こったこともあり、ロシアの聴衆が私たちをあまり理解できていないと感じた時もありました。ロシアの聴衆にとっては、『平家物語』を語り歌う女性の声の響きが珍しかったのです。しかし今、私たちには独自の聴衆がいます。毎年コンサートに訪れる常連の人たちがいます。そしてそのような人たちは、友人、子供、孫たちをコンサートに連れてきます。彼らはフェスティバルを楽しみにしています。ですからもちろん、今回モスクワ音楽院の小ホールが満席だったのも驚くことではないのです。これは正常なことで、当然のことなのです。またネット中継をすることもできるようになりました。私たちは今回、モスクワやその他のロシアの都市、また外国にいる私たちのコンサートを観たい、聴きたいと思う全ての人たちが、私たちと一緒にコンサートを楽しめるように、ネット中継を行いました」。
「日本の心」フェスティバルでは、雅楽のコンサートの他に、浪曲師の春野恵子さんが浪花節の芸術を披露するなど、様々なコンサート、展覧会、ワークショップなどが開かれた。