自分の将来を選択したロシア

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2015年は大多数のロシア人にとって悟りの年、そして恐怖を克服した年となった。また昨年は、ロシアがどの方向に進む必要があるのかを定めることも可能とした。

以下、モスクワ国際関係大学国際問題研究所の上級学術専門家、アンドレイ・ イワノフ氏の私見をご紹介する-

これは欧米のお陰だ。彼らに感謝する必要がある。米国は12月末、ロシアに対して追加制裁を導入した。制裁対象となったロシア企業は驚くべきものだった。なぜなら制裁対象リストには、例えばクリミアにある「ヤルタ映画スタジオ」や世界に名を馳せるワイン工場「マッサンドラ」などが含まれていたからだ。また制裁が強化された理由も衝撃的だった。米国はウクライナ情勢解決に関するミンスク合意を遵守していないとしてロシアを非難したのだ。しかしロシアはドイツやフランスと同じように協議の参加者にすぎず、ミンスク合意を遵守していないのはウクライナなのだ。ウクライナはドンバスの国境に軍を集結させ、ドネツクの町への砲撃を続け、ドネツクおよびルガンスクとの対話や、米国までもがウクライナに呼びかけている連邦制に関する現実的な行動を拒否している。

米国とロシアは、シリアについても意見が異なっている。米国はテロ組織「ダーイシュ(IS、イスラム国)」に対抗する欧米の有志連合にロシアを招きながらも、シリアの平和の鍵はアサド大統領の退陣であると主張し続けている。また米国は、シリアでロシアのパイロットたちが行っているテロリストらの拠点に対する空爆について、「交渉に害を与えている」と発表している。要するにこれは、オバマ大統領がロシアとの和解を望んでいないということだ。なぜならオバマ大統領にとっては、ロシアが独立性を示さなくなり、米国の勧めに素直に従った民主主義者や自由主義者たちの努力によって陥った1990年代の状態にまでロシアが退廃することが望ましいからだ。2014年から2015年に欧米が導入した制裁も、ロシアをこの方向に追いやるためのものだった。服従や退廃へ向かわせるものだった。当初このような制裁はロシアのエリートたちを驚かせた。しかし後に制裁が機能していないことが分かった。なぜならロシア経済の生命力は予想されたよりもはるかに強かったからだ。ロシアの農家経営者や酪農家たちは不意にロシア市場へのアクセスを獲得した。軍産複合体企業も新たな注文を受けた。食品産業や軽工業の発展にも新たな弾みが与えられた。

しかし最も重要なことは、政治および社会分野で起こった。対ロシア制裁の発動を提案した者たちは、ロシア社会の分裂や反プーチン暴動が起こることに期待したが、それとは反対のことが起こり、ロシア人たちが団結したのだ。プーチン大統領の外交政策は、ロシアで顕著な影響力を持つ共産主義者や自由主義者、民主主義者たちによって支持された。しかし1990年代に欧米との接近を支持した人々は、ロシアの価値やアイデンティティーを喪失させ、国民からの支持も完全に失った。

さらに、「ロシアの声」という人気のオーディション番組の結果も、ロシア人の意識が変化した予想外の証拠となった。今年の優勝者には、プロの歌手ではなく、聖職者のフォチイ修道司祭が選ばれたのだ。司祭は、ロシア歌曲とイタリア・オペラのアリアを歌い、その素晴らしい声だけでなく、その心、魂でもテレビ視聴者たちを魅了したのだ。同オーディションでは、欧米のヒット曲を歌った出演者が大勢いたが、その多くの人たちには、まさにこの「心」が足りなかったのだ。ロシアのブログ圏は、このテレビオーディションの結果について、次のような賢明な指摘をした-
「ロシア人はフォチイ修道司祭に対してだけでなく、ロシアが自分であり続けるために、ロシアが進むべき方向の選択に対しても投票した。もしこれを気に入らない人がいたとしても、受け入れる必要がある。ロシア人の攻撃性について論じることが好きな人たちには、フォチイ修道司祭が歌うこの曲を聴くことをお勧めする」。

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