朝鮮の中央紙「ノドン・シンムン」は、米国の行動は状況を戦争の瀬戸際に追いやることだとして米国を非難、「核には核で報いる」と公言している。
状況はたしかに、予断を許さない。B-52一機だけでも、北朝鮮の重要拠点、たとえば司令部や政府機関建物を攻撃可能だ。米国の戦略戦争をさらに韓国に配備することで、北朝鮮に先制的・壊滅的攻撃を加えることへの誘惑が、米韓にとって高まるかもしれない。もし北朝鮮の原爆および水爆がブラフでないとするなら、そして北朝鮮はソウルその他韓国各地に通常弾頭の中距離ミサイルを百発単位で向けるかもしれないと考えれば、米韓の攻撃は非常に強力でなくばならない。それすなわち、北朝鮮側の市民の犠牲は、百万単位とは言わないまでも、数万、または数十万に上るということだ。
逆にもし、北朝鮮にいかなる核兵器もなく、核実験はすべて米国を対話に呼び込むためにのみ北朝鮮に必要なものに過ぎない、とするならば、北朝鮮の人々は皆、金正恩第一書記との直接交渉を拒否する米国の実直さのみを理由に殺されねばならない、ということだ。何しろ北朝鮮が米国からほしがっているのは、米国がユーゴスラビアにおけると同様軍事的手段で北朝鮮態勢を変更しようとすることはない、という保証だけなのだ。金正恩第一書記はそうした保証を得ることで、既に着手がなされた中国式の経済改革を進める大きなチャンスを手に入れ、それで北朝鮮は絶対的に正常で持続力ある国家になることが出来るというのに。しかし、こうした展望は、どうやら、米国のお気に召すことはないようだ。今やすっかり資本主義国の中国が気に入らないのと同様に。何しろ中国は、経済成長により、ますます強力な米国にとってのライバルとなっているからだ。こうしたライバルを軍事的手段で解体することは米国にはできない。もう遅すぎる。北朝鮮については遅れたくない、と考えているかも知れない。米国政府内では、どうやら、米朝二者協力の発展を通じて北朝鮮を戒めるという可能性は、全く検討されていないように見える。米国は、彼らの見るところではもっと簡単な、力による北朝鮮問題の解決を選好する用意があるらしい。
ではもし北朝鮮が本当に既に充分実用可能な核兵器をもっているとしたら?もし先日の潜水艦発射式弾道弾実験もやはりブラフやビデオモンタージュでなかったとしたら。そのとき北朝鮮鎮圧作戦は、多数の犠牲と大規模破壊に転じるかも知れない。それも北朝鮮だけでなく、韓国、日本にも犠牲を出すような。日本にも米軍基地はあり、北朝鮮はそれらへ弾道弾を撃ち込む可能性もあるのだ。
ゆえに、常にコルト拳銃をつかむカウボーイ式の習慣を捨て、話し合いを試みたほうがよくはないか。