以下、ニース分析員の見解を、要約して御紹介する。
S-400(トリウムフ)について、マスコミが取り上げ始めたのは昨年末で、ロシアが、スホイ24戦闘機がトルコ空軍機に撃墜された事に対抗する措置として、シリアにそれを配備した時の事だった。そうした対空防衛システムの出現により、トルコは、空での作戦を一時中止せざるを得なくなり、また米国とその同盟国の作戦に本質的な影響を及ぼした。このエピソードは、S-400(トリウムフ)が持つ幅広い可能性と、軍部隊の配置に対する影響力を示すものである。
そして近い将来、このシステムを入手する中国も、そうした可能性と影響力を持つことになるという事実は、極めて注目される。中国が、このシステムをどこに展開する計画なのか、現在に至るまで明らかではない。
S-400は、現在存在する地対空ミサイル・システムの中で最も効果的なもので、その射程は400キロだ。伝えられているところでは、このシステムは、100の標的をとらえ、そのうち6つを同時に攻撃できる能力を持っている。射程400キロと言えば、台湾全島や北朝鮮のほとんど、さらには尖閣諸島のすぐ近くまで網羅できる。そうなれば、中国は、危機的状況になれば、米国及びその同盟国の行動を本質的に抑える事が出来、反応する手段の選択において、彼らを狼狽させることになる。