昨日ラヴロフ外相は、露政府は日本との平和条約締結は領土問題解決の同義語であるとは考えていない、と述べた。日本政府は、ロシア外相のこうした発言は容認できない、とした。萩生田光一内閣官房副長官は、日本の立場は既に明確に示してあり、領土問題交渉を含めてロシアとの政治対話を拡大するという方針は不変である、と述べた。
萩生田氏のこの発言は今度はロシアで当惑を引き起こした。高等経済学院の日本専門家アンドレイ・フェシュン氏は次のように述べた。
安倍氏は首相としては、「まず島、そのあとで平和条約」という順序にこだわらず、そのことが日本の保守派、伝統主義者に、「ロシアに譲歩している」として安倍氏を批判する根拠を与えていた。しかしロシアの政界・有識者らの間には、強いリーダーとしての安倍氏ならば、露日関係を本質的に新しい次元へと引き出してくれるのではないか、との希望が生まれていた。そのために必要なのは、ただ、日本側がロシアに対する全く無根拠な領土要求を繰り返すことをやめ、第二次世界大戦の結果を認めることだけだ。フェシュン氏はそう語る。
「ほんの1週間前、安倍首相のウラジオストク非公式訪問が既に合意されている、と話されていた。そこでプーチン大統領の日本公式訪問の時期をめぐる問題が討議されるだろう、と。しかし、それ以降、一連の出来事が起こった。たとえば、ある建設会社から現金を受け取ったことで安倍内閣の閣僚が非難されるという国内スキャンダルも注意を集めている。これら全ては、野党および安倍首相反対派の攻撃と見ることができる。おそらく、日本外務省による、ラヴロフ外相発言への激しいリアクションも、この安倍氏に対する攻撃とつながっているのだろう」
間もなく、2月、モスクワで、露日外務次官級交渉が行われる。領土問題で強硬な姿勢を誇示する日本の最近の志向が、この交渉を難航させ、露日対話全般を複雑化させる可能性がある。