上月大使「大使館がどういう形で日本企業の皆様と協力していけるか、というのは外務省全体の課題です。ロシアの金融環境、ビジネス環境は良くなってはきていますが、法制の急速な変更等の問題があります。投資環境の改善度を上げ、今まで企業の皆様が直面してきた問題とどのように対決していくのかということも課題です。ロシア政府側の組織の問題もあります。政府の役割は大きいので、大使館としてできるだけ、ロシア側に具体的に働きかけることに取り組んで行きたいと思います。」
上月大使は、在ロシア大使館は、日本人ビジネスマンらにとって、世界で一番敷居の低い存在でありたいと願っている。
上月大使「大使館は日本企業のプロモーションのお役に立ちたいと思っています。前回赴任時、大使館内のホールでサントリーウイスキーのティスティング・セミナーを行い、大変好評でした。ある方から、クレムリンの幹部の皆様もサントリーのウイスキーが好きだという話を聞きました。」
大使館での大使としての仕事はまだ一ヶ月だが、上月大使は「ずいぶんロシアも変わってきた」と感じているという。経済発展省のウリュカエフ大臣とは投資環境や物流の問題について実に具体的な話ができるようになった。また、上月大使は、ロシアの宇宙事業を一挙に手がけているロスコスモスのコマロフ長官が軍でなく民間出身であることに触れ、内容の濃いビジネスの話ができることを評価した。コマロフ長官は、ロシアの自動車メーカー「アフトヴァス」の社長だった時代に、何度も日本を訪れたことがあるという。
モスクワ・ジャパンクラブの目黒祐志理事長(モスクワ三井物産社長)は、「今年のロシア経済、あまり良いことはなさそうだ」との見通しを示しながらも、「速報ベースの数字ではあるが、これだけ油価が下がっている中でも、昨年ロシアは15兆円の貿易黒字が出ており、また経常黒字も若干増えている。この点がギリシャやスペインとは異なる。油価は下がっているものの、生産高は史上最高水準。小麦などの食物輸出も伸びている。ルーブルがこれだけ下がってしまったので日本からの輸入、という点では難しいが、一方で投資環境は改善した。物の売買よりも、投資にチャンスがある」と期待をにじませた。