「南北関係はこれまでにも深刻な危機に陥った。中には非常に切迫した危機もあった。しかしケソン工業団地に累が及ぶことはなかった。ケソン工業団地は南北関係が死んではいないことの唯一の象徴だったのだ。2013年、短期的に操業が停止したことはある。韓国が他ならぬ今、操業停止を決定したことは、大きな展開があったことを物語っている。米国、日本、韓国は、制裁を経済全体に拡大する意向だ。制裁拡大が実現すれば、北朝鮮は金融・銀行業務の遂行を禁じられることになる。また、北朝鮮のあらゆる航空機・船舶が厳しい検査を受けることになる。封鎖という言葉は使われてはいないが、本質的にはそれに近い。本質的には、窒息させるための方策だ。ロシアと中国のアプローチはよりソフトだ。新たに制裁が導入されるとしても、それは北朝鮮の軍産複合体に限定され、北朝鮮経済の民生部門を破壊してはならない、というのがその立場だ。韓国がここ最近見せた動きは、韓国の基本的な対北政策、すなわち、体制転換を目指した北朝鮮孤立策の強化という路線に沿ったものだ。北朝鮮はこれに超厳格な対抗措置をとる、としている。この数十年そうしてきたように。問題は、今次の南北対立が、どれほど既存のそれから逸脱するか、ということだ。パク・クネ大統領の任期は終了に近づいている。両朝鮮相互間の信頼は壊滅的だ。北朝鮮はホットラインの遮断を決めた。そのことは、今の状況が非常に警戒を要するシナリオにそって発展していることを示している」
北朝鮮はケソン工業団地の営業利益(昨年ははじめて5億ドルを上回った)の一部をミサイル・核開発に使っていた、というのが韓国の見方である。しかし、ケソン工業団地の停止で、北朝鮮だけでなく、韓国もダメージを受ける。ロシア科学アカデミー極東研究所朝鮮研究室の経済専門家スヴェトラーナ・ススリナ氏は次のように述べた。