ピエモント州モッソ市のとある学校で学ぶ子どもたちが300万ユーロを集めようと奔走している。目的はブデッリ島の購入。サルデーニャ島に近いこの島は、浜辺の砂がピンク色をしていることから「ばら色の島」の通称で知られる。モッソのこどもたちはこのブデッリ島を「若者たちの島」にし、若者たちみんなの所有財産にしようと思い立った。
「国にお金がないなら、自分たちで集めちゃおう」と宣言したこどもたちがそろばんをはじいてみたところ、島を買い取るにはイタリア全土の学校、大学に通うそれぞれが、わずか50ユーロセント(およそ63円)持ち寄れば夢が実現することが判明した。購入に必要な資金を集め、島を「若者の避難所」に変えるため、イタリアのこどもたちは島についての情報をSNSや、ここでなら、きっと大きな支援が得られるに違いないと思われる場所で流している。こどもたちはまた、地中海に面する他の国からの参加者も引き入れたいと望んでいる。
ブデッリ島だが、実はニュージーランドのとある富豪が買い上げに名乗りを上げたあと、結局購買をあきらめたため、近いうちにも再び競売に浮上してくる。…というニュースを、「ラ・スタムラ」紙の日曜版を学校に持参してきた教師が子どもに読み聞かせたことがそもそものはじまり。教師は島の歴史について、また島をどうすることができるかについて話しはじめると、話は、実際にいくら出せばこれが買えるのかという計算に発展し、その数字を見た子どもたちは、なんだ、頑張れば自分たちにも買えるじゃないかと確信してしまった。
こどもたちは、島が民間の手にわたり、商業目的で使われるのはいやだ、環境が守られ、島が社会のものとなり、どんな子どもも遊びにってもいい場所になってほしいと夢を膨らませている。一方のきっかけを作ってしまった当の教師のほうだが、プロジェクトはかなり野心的ではあるものの、若い世代にとってはどんな目的でも、それに向かって進むのであれば必ず達成できるといういいお手本になると考えている。