この 白頭山は、 中華人民共和国(中国)吉林省と朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)両江道の国境地帯にある火山で、標高は2,744mある。
白頭山は、これまで何度も噴火を繰り返してきたが、そのたびに人類の歴史においても特筆されるような、大きな被害をもたらしてきた。例えば古文書には、946年の噴火で、日本海を越えて遠く日本北部にまで火山灰が飛んでゆき、5センチも降り積もったとの記述が残っている。他にも、この山は「朝鮮王朝実録」によれば、1597年、1668年、1702年に大噴火し、1903年にも噴火したとの記録がある。最近では、2002年から2005年頃まで周辺で群発地震が散発的に発生、地割れや崩落が起き山頂の隆起が観測された
先日、韓国の4人の地震学者が、白頭山の現在の状況に関する、研究論文を、雑誌「サイエンティフィク・リポーツ(Scientific Reports)」に発表した。それによれば「山の内部で火山活動が活発化しており、イオウを含んだ亜硫酸ガスの濃度の増加は、火山のマグマ溜まりが拡大していることを示している」とのことだ。一方、北朝鮮が地下核実験を行っているパンギリ実験場は、白頭山から115キロしか離れていない。地震学者らは、休火山が眠りを覚ますためには、あと一回北が地下核実験を実施すれば十分だと見ている。
「火山の上層部へ上ってくるマグマは、通常の状態では、何万メートルもの地底深くに存在している。だから核爆発の波動は、そこに到達するまでには、かなり弱まってしまう。しかしもし、噴火のための自然条件が熟している場合、つまり、火山の内部に十分なマグマが蓄積された場合、それらは、溶岩として外に噴出する。そうなれは、実際、地下核実験により生じる波動は、火山の噴火を誘発するかもしれない。
韓国の学者達が、白頭山噴火の可能性があるとの報告書を出したのであれば、彼らには、それなりの根拠があるはずだと思う。火山周辺に置かれている観測機器は、火山が震動し眠りから覚めつつあることを記録している。どのような土壌の揺れであれ、それが強いものなら、溜まったマグマを刺激し、新たな噴火に刺激を与え得る動的負荷を呼び起こす事になる。」
韓国の学者らは、マグマ溜まりの中に異常に高い圧力を作りだすためには、マグニチュード5から7の爆発で十分だと警告している。なお北朝鮮が今年1月に実施した地下核実験は、マグニチュード5,1の地震に匹敵する揺れをもたらした。