パキスタン市場はある種、中国の独壇場だ。ロシアも米国も欧州も、パキスタンと武器合意を結べば大国インドからの否定的リアクションを覚悟せねばならない。中国はパキスタンの同盟国であり、前進はあるもののインドとの関係はそう緊密ではなく、武器供給のさいにニューデリーの顔色を気にするほどではない。パキスタンは中国と共同のFC1戦闘機の購入を拡大し、無線探査機ZDK3などの高度な武器システムの新規購入を行なっている。
しかし中国の武器輸出は目に見えて拡大に進んでいる。この5年、中国輸出の半分がパキスタン一国に集中していた。今や中国は中東、アフリカ、東南アジア、一部ラテンアメリカにおけるプレゼンスを格段に伸ばした。競争力の弱い南アジア市場からの独立の減速が中国輸出の量的増大テンポより低いのである。
中国の武器輸出拡大を阻む要因とはなにか。第一に、エンジンその他重要要素の製造をめぐる問題が解決中だが、そのテンポが遅いこと。第二に、人件費が急騰し、中国製品が割高になっている。特に2014年以降ルーブルがドルや元に対して半額に値下がりし、ロシア製品が割安になっている。
さらに重要な問題が、政治的障害だ。武器市場ほど政治的な市場もない。武器購入決定は軍よりむしろ政治による。経済や技術という観点さえしばしば政治の二の次である。活発外交なしに武器輸出を拡大し、成功することは難しい。
中国が支配的地位を確保できた唯一の大市場がパキスタンだ。中パ関係は1980年代初頭から数えて中国外交全般にとって極めて例外的なものだ。パキスタンは中国が固い同盟関係を結び得た唯一の国なのだ。
中国が今後国際武器市場でどれだけ成功できるかは、他の多くの問題と同様、中国が自身の「基幹的国益」と直接関係しないと考える国際問題の解決における中国の責任担保能力次第だ。つまり、たとえば中東の問題に対する自分の見方を声高に叫ぶだけでなく、その推進のために他の大国との抗争に入ることをも辞さない姿勢が必要なのだ。