会場の一角には日本企業がブースを構えており、その中には、経済産業省が支援する「クールジャパン・ワールドトライアル事業」の一環でモスクワを訪れた、天狗工房(デジママジデ株式会社)の福士直也(ふくし・なおや)代表の姿もあった。天狗工房は、ロシア人にも人気のあるアニメ「寄生獣」をはじめ、数多くのヒットアニメやゲームのアニメーション制作を手がけている。
福士氏は「ここへ来る前はロシアにあまり良いイメージをもっていませんでしたが、今回モスクワに来て本当に良かったと思います。人が温かく、こんなにも日本のアニメが求められているのか、ということを強く感じました。フェスティバルに先駆けて行われたビジネスマッチングでは、ロシアの企業から具体的な提案も頂くことができました。」と話した。福士氏は、これよりも前にクールジャパン事業で訪れたインドネシアやタイよりも、ビジネスという観点からは成功度合いが高いと見ている。
天狗工房は、J-FESTで泉極志(せんごくし)のPRを通しアニメと温泉の魅力をモスクワっ子に伝えた。泉極志とは、天狗工房がプロデュースする、群馬県の温泉街・みなかみ町を舞台とした温泉バトル物語だ。町内18か所の温泉にはそれぞれ看板娘がいて、泉獣を操り、温泉バトル「泉極グランプリ」での勝利を目指す。みなかみ町は町内18か所の温泉を「みなかみ十八湯」としてセットでブランディングしており、インバウンド事業で外国人の訪問が増えることを期待している。
来場者達は泉極志のオフィシャル・ユニット、泉極娘(せんごくガールズ)のパフォーマンスに魅了されていた。福士氏の「世代や性別を問わずに愛されるキャラクター作りが大切」との言葉通り、天狗工房のブースには男性のみならず女性ファンが多く集まり、泉極娘のサインをもらおうと列をなした。今のところ泉極志のバトルの舞台はみなかみ町内だが、福士氏によれば、温泉のあるカムチャッカ半島なども、将来的にバトルの舞台になるかもしれないということだ。