2011年3月11日に発生した大地震とその後の津波は、福島第一原発のエネルギーブロックに損傷を与え、それが原因で炉心が溶解し、かなりの量の放射性粒子が放出された。事故後の危険を少しでも取り去るために、日本では、液体状の放射性廃棄物(汚染水)保管用に大量の収容タンクが建設され、地下水を集めるための壕が掘られ、さらには汚染水が海に流れ込まないように土壌を凍結させ壁を作る試みもなされている。しかし、いかに素晴らしい日本の技術をもってしても、汚染水処理のためには十分ではないことが分かった。
世界は、これまで、これほどの規模の液体放射性物質処理問題に直面した事はなかった。「ロスラオ」に付属するフロピン記念ラジウム研究所のスペシャリストで、ロシアのプロジェクトグループの責任者であるセルゲイ・フロリャ氏に、スプートニク日本のタチヤナ・フロニ記者が、意見を聞いた―
「汚染水からトリチウムを除去するプロジェクトに関し、我々の研究所が、国際入札で勝利した後、昨年一年間、我々は、実証プラントの製造に取り組んだ。それは、日本の人達に、彼らにとって必要不可欠な規模で、その効果性を示すためのものだった。この事は、日本政府が、今後5-6年の間に問題を解決する助けになるだろう。あれだけの規模で蓄積されたトリチウム廃棄物を処理するプロジェクトは、非常に困難かつ複雑なものだ。福島第一原発の敷地には、すでに70万立方メートル以上もの、トリチウムを含んだ汚染水が蓄積されている。
ロシア・ラジウム研究所が、トリチウム廃棄物の処理問題に取り組んだのは、何も今回が初めてではない。それゆえ福島第一原発で事故が起きた時、ロシアの技術が必要となるだろうとすぐに理解した。日本の専門家らが我々の研究所を訪れた時、彼らはまず、自分達が必要とするものを明確にした。それは、一日当たり、少なくとも4千立方メートルの廃棄物を処理できるという能力だ。これまで、そうしたトリチウム廃棄物処理能力を持つ装置は、世界に存在しなかった。あったのは基本的に、100から200立方メートル程度の廃棄物処理能力を持つものだけだった。
現在「ロスラオ」は、汚染水から放射能を取り除き、水を浄化する自分達の装置の実験を行っている。もし実験が、日本人にとって必要不可欠な成果を示したならば、パイロットプロジェクトは、大型の産業プラント製造のための基礎になるだろう。技術的な特徴以外に、プロジェクト選択の際には、装置の製造コストも考慮されるだろう。これについてロシアは、コストを最低限に抑える事が可能な技術案を提示している。