スプートニク日本のタチヤナ・フロニ記者は、ロシア科学アカデミー極東研究所日本調査センターのワレーリイ・キスタノフ・センター長に、意見を聞いた。センター長は「おそらく中国はそうした事を許さないだろう。中国はロシアと共に、朝鮮民主主義人民共和国に対する新たな制裁に参加している」と指摘し、次のように続けた-
一方、もし中国軍が、北朝鮮領内に導入されたなら、彼らは、日本海沿岸に到達する危険性がある。領土問題が今も日中関係を尖鋭化させている事を考えれば、日本海の対岸に中国軍が出現するというシナリオを、日本政府は、恐らく喜ばないだろう。」
それ以外に、もし北朝鮮の体制が崩壊した場合、現在欧州で起きているような状況が生じる可能性がある。何十万人もの、あるいは百万単位の難民が、押し寄せるかもしれない。キスタノフ・センター長は「その場合、最も無防備な状態に置かれるのは、恐らく日本だ」と見ている-
忘れてはならないのは、日本にはすでに、在外朝鮮人の非常に大きな社会が存在している、という事だ。つまり日本でも、今日ドイツで起きているのと同じことが起きるだろうという事だ。その際、日本と朝鮮半島の間にある対馬海峡の島々は、コントロール下、管理下に置かれていない難民達が今も流れ着いているエーゲ海のレスボス島(ギリシャ)や地中海のラムペドゥーザ島(イタリア)のような役割を演じるだろう。日本にとってはもちろん、そんなことは必要ない。日本の戦略専門家達は、そうしたシナリオも考慮に入れ、憂慮もしているのだろうが、それについて発言する人はいない。」
北朝鮮の核ミサイル計画問題には、世界中で取り組み、これを解決する必要がある。米国とその同盟国は、新たな制裁は、北朝鮮当局が譲歩しなくてはならないほど強力なものだと固く確信しているようだ。しかし北朝鮮当局は、中東で倒された体制の運命が自分達のところで繰り返されるのではないかと、ますます恐れている。それゆえ北朝鮮の体制を保証してはじめて、彼らを6カ国協議のテーブルに戻す事ができるだろう。もし北朝鮮を、追いつめるような事をすれば、極東で百万規模の難民危機が起きるというシナリオは、現実のものになってしまう可能性がある。