これまで行われてきた独首相の訪中は独中の経済パートナー関係に大きな成功をもたらし、それが今回のガウク独大統領のミッションにとって良好なバックグラウンドとなっている。独首相の訪中では金融、産業協力に関する13の書類が調印されたほか、独はEU諸国の中ではアジアインフラ投資銀行の共同出資者としては最大規模の出資を行った。ロシア科学アカデミー、欧州研究所、独調査センターのウラジーミル・ベロフ所長はこれについて次のように語っている。
独は中国市場における独企業の経済活動に対し、大きな自由を執拗に求めている。一方の中国は自国経済の市場的性格を認識するよう、主張している。
ガウク大統領の訪中前に米国とEUは中国の独占を非難し、中国製のスチールに対する制限的輸入関税を導入した。これをバックに一連の独政治家らは政府に対し、中国経済の市場経済的性格を認める前に再度検討するよう呼びかけている。その理由について政治家らは、この地位があることよって中国との取引論争での勝つことは非常に難しくなるとの見解を示している。
ガウク大統領の訪中の前日、ミハエル・クラウス駐中独大使は、両者は両国のサイバー安全保障を強化する合意に取り組むことを明らかにしている。ライバル諜報活動分野の専門家で連邦政府関係および情報局に勤務するアンドレイ・マサロヴィチ氏は将来の合意が及ぼす効果について極めて慎重な見解を示している。
中国にとってはEU諸国と、それを牽引する独との関係構築は、米国およびその最も重要な同盟国である日本とグローバルなライバル関係にある以上、特別な意味を持っている。これと同時に中国と独の特殊な関係は欧州内に一様ではない感情を引き起こしている。一見独は、中国でEUの全加盟国の利益を推し進めているようではあるが、アジアを率いる中国のテリトリーで独のリーダーシップが強化されることで、お膝元のEUでもゲルマン化、つまり独の力の伸長が強化されてしまうのではないかという疑念がもたれている。そしてまさにこれが、独大統領の訪中の水面下の動きとなっている。