結核を治療するために、薬物治療から手術まで様々な方法が用いられている。また紫外線による抗菌作用に基づいたレーザー治療もある。この治療法の開発が始まったのは今から25年前。1964年にノーベル物理学賞を受賞し、医療分野へのレーザー使用を最初に始めたアレクサンドル・プロホロフ氏が開発を始めた。
しかし、このような素晴らしい結果が出ているにもかかわらず、ロシアの学者たちの開発はまだ広く普及されておらず、ロシアの複数の医療センターで薬物療法と一緒に用いられているだけだ。
開発者の一人であるA.M.プロホロフ名称一般物理研究所・共振現象研究室のゲンナージー・クズミン主任研究員は、通信社「スプートニク」のアンナ・オラロワ記者のインタビューに応じ、結核のレーザー治療法について、次のように語ったー
クズミン氏は、人類はレーザー治療法を用いる運命にあるとの確信を示している。様々なタイプの波、つまり様々なタイプのレーザーのおかげで、このメソッドは事実上あらゆる病気の治療に使用することができる。ロシアでは結核の他に、乾癬や気管支の病気の治療、また婦人科、外科、さらに子供の気管支鏡検査などでもレーザー療法が用いられており、成果を出している。クズミン氏は、次のように語っている‐
「結核だけではありません。私たちは当初から、最も深刻な病気に取り組むと決めました。しかしこの方法は、あらゆる炎症過程の治療で使用することができます。最も重いタイプの空洞を持った結核の場合、私たちはファイバーを使って空洞の中に侵入します。放射線を分散させる特別な先端部分が必要となりますが、私たちはこれをつくりました。私たちの研究所の敷地内には、ファイバー光学センターがあります。私たちは、紫外光を透過させる薄い繊維をつくることを習得しました。私たちは鼻から、あるいは,肺穿刺(はいせんし)によって内臓の炎症を局所的に治療することができます。」
最新データによると、ロシアの結核死亡率は1990年代と比べて半減した。しかし全体として発症率は今も高い水準にある。ロシアでは2014年、13万6168人が結核を発病した。日本の2014年の結核発病者は1万9615人。プロホロフ研究所の開発が役立つに違いない。