文書はシリア北部の街シャッダジ襲撃の際クルド人民防衛隊(YPG)が入手し、のちRTの現地特派員の手に渡ったもの。このときYPGのもとに、捕虜にとられていたトルコやサウジアラビアなどの戦闘員も加わり、ダーイシュについて証言を行なった。
ダーイシュは幼少時からのイデオロギー教育を行なっている。RTはYPG経由で学校教育用の教材を入手。戦闘員らはイスラム法の知識や、子供に教育をほどこす能力などを試験される。
「教材」には、次のような設問がある。「ダーイシュの戦闘員による断頭の様子をあざ笑う人にはどのように対処するべきか」。正しい答えは「間違っている。その者はアッラーの宗教を笑い者にしているということだから、信仰を否定している」。
次の質問。「封鎖下にあるキリスト教徒に食事を与える人にはどのように対処するべきか」。正解は「軽度の裏切り。アッラーよりも隣人を愛しているから」。
こんな質問もある。「民主主義とは何か。民主主義に賛成する人にはどのような罰が下るか」
興味深いことに、これらの文書には、教師のための証明書が添付されており、イスラム法の知識がパーセンテージで評価されている。ロシアの統一国家試験と同様だ。氏名ごとに点数および評定が記されている。「弟子入り可能」「要再訓練」などだ。
実用言語としてのロシア語
ロシア語がダーイシュで最も人気のある言語の一つであることは秘密ではない。中央アジア諸国やロシア本国の出身者で、ほとんどアラビア語を知らない人たち同士が話す言語として使われている。
解放されたシャッダジ市のいわゆる「チェチェン」クウォーターを映したRTの映像に、ロシア語によるスプレー落書きが映っている。なかなかの芸術性だ。
「アッラーの許しなしにはいかなる魂も死ぬことはない!」とのコーランの一節が壁に書かれている。