米パトリオットは北朝鮮のミサイルから日本を守ってはくれない

© AP Photo / Shizuo Kambayashi米パトリオットは北朝鮮のミサイルから日本を守ってはくれない
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北朝鮮当局による相次ぐ弾道ミサイルの発射を受け、日本は、パトリオット対空ミサイル防衛システムを常時配備する。米国のシステムが防衛省の近くに2017年3月までに設置される計画。これらの措置の目的は、政府機関本部が集中している東京周辺の防衛強化だ。

これまでは、北朝鮮の弾道ミサイル発射の脅威があると、そのつど近くの場所から東京にパトリオットPAC-3が持ってこられ、のちもとに戻された。最近でも北朝鮮が日本海の方向に複数の短距離弾道ミサイルを発射しており、これが日本に戦略変更を強いたと見られる。しかし、ロシアの軍事専門家ウラジーミル・エフセーエフ氏によると、この措置は、北朝鮮のミサイルの脅威から東京を守るには全く不十分だ。非常に単純な理由がある。米国のパトリオットシステムは、単に、この種のことを目的に作られてはいないのである。

「防空システム・パトリオットは対空システムであり、ミサイル防衛システムではない。迎撃有効範囲はかなり低く、弾道弾を迎撃することはできない。有効高度は20キロを超えないのだ。パトリオットPAC-3では、仮にミサイル攻撃の命中する危険のある方向に配置される場合であっても、行政区などごく限られた領域しか保護することができないだろう。しかし、パトリオットPAC-3は日本領土のいずれの地点にも到達することができる北朝鮮の弾道ミサイル「ノドン」や「ムスダン」から東京全体を保護してはくれない」

ではなぜパトリオットが東京に配備されるのか?この質問に答え、エフセーエフ氏は次のように述べた。

「同種のシステムは、9月11日のテロの後にホワイトハウスの周りに配備された。しかし、私は、それが本当に強く必要なことであるのかどうかは疑問に思っている。ミサイル防衛のための最も効果的な装置は、やはり米国のTHAADおよびイージスである。これなら数千キロ離れたミサイルからも防衛ができる。しかしこれらのシステムも、迎撃能力は限定的だ。軽いダミーの飛行体がいた場合、大気上層ではそれとの見分けがつかず、大気の緻密な層で行うことになる。また、グループ発射、つまり、ミサイル連隊による攻撃の場合、すべての弾頭を迎撃することは非現実的だ」

ゆえに、北朝鮮のミサイルの脅威から東京を守る方法としては、軍事でなく、外交のほうが優れている、ということになる。北朝鮮が、自らの安全の保証を受けた場合には、北朝鮮は喜んで日本と「攻撃しない」という協定に署名するだろう。ただし、その保証は、東京だけでなく、ワシントンからも得る必要がある。    

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