学生たちの関心を特にひきつけたのは、女性の活躍についての日本の政策だ。稲田氏は政界に入る前、弁護士として働いていた。男女雇用機会均等法のない時代、合格倍率が67倍だった司法試験に合格した当時のエピソードを語った。
稲田氏「安倍政権の重要政策の一つが女性の活躍です。安倍首相は、内閣の重要政策の中心に女性の活躍を掲げた最初の総理大臣だと思います。私は司法試験に23歳で受かりましたが、どこにも勤め先がなかったのです。同じ大学を出て同じ年に司法試験に合格した(未来の)主人は、裁判所からも、検察庁からも、法律事務所からも誘われて引く手あまたでした。でも私のところには、私が女性だからか?と、そういう風に思いたくなるくらい、お誘いがなかったのです。そこで私は、大阪で最も歴史と伝統のある法律事務所を訪問して、雇ってくださいと頼みました。『5年間結婚しないなら雇ってあげましょう』と言われ、喜んでその事務所に勤めたわけですけれども、今もしそんな条件を出したら、直ちに日弁連の人権委員会から勧告が来ると思います。」
稲田氏は、イスラム過激派の台頭による悲劇的な事件を繰り返さないためにも、日露間で取り組んできているアフガニスタンの麻薬対策のように、ロシアとはテロ対策分野で協力することが有意義である、と述べた。
懸案である領土問題については、第二次世界大戦後、70年以上が経過しているにもかかわらず日露間に未だに平和条約が締結されていないことは異常であり、その認識は両首脳の間でも共有されているとの見方を示した。稲田氏は「対話を通じて北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結することは、日露関係をこれまで以上に高い次元に引き上げていくと考えています。安倍総理はプーチン大統領と12回もの首脳会談を重ね、日露関係の発展に向け真剣に取り組んできています。今年2016年は、これまで以上に並々ならぬ思いで日露関係に取り組んでおられるように思います。私も、今年は日露関係にとって大変重要な年になると思います」と述べ、日露関係の進展に強い期待を示した。