ウクライナ大統領の日本公式訪問について、モスクワ国際関係大学のアンドレイ・イワノフ上級研究員の見解を以下皆さんに御紹介したい―
日本の記者クラブでポロシェンコ大統領は演説し「軍事的政治的押し付け命令的』政策を取っているとしてロシア政府を非難した。大統領は又、日本を含めG7諸国が、すでにウクライナ人1万人以上が死亡し2万1千人が負傷したウクライナ東部での戦争を止めさせるため、ロシアの政策に影響を与えている事に満足の意を表した。
しかしポロシェンコの軍隊は、自分の家や家族をウクライナ軍の軍服を着た暴徒集団から守るため武器を取った、元炭鉱夫達や医師、エンジニア、企業家、警官達との戦いで敗北を喫した。 ポロシェンコ氏は、こうした恥を隠すため、ロシア軍が侵略したのだとウソを主張した。欧米は、ウクライナ領内でロシア軍が加わった戦いは、3日から4日以上続かなかったとよく知りながら、ポロシェンコ氏が述べた馬鹿げた説を喜んで受入れ、今やロシア政府に対し、ドンバスの義勇兵への支持を止め、ドンバス地方のウクライナ・ロシア国境をウクライナ軍のコントロール下に移すよう求めている。これに対しロシア政府は、当然ながら「そうした事は、ポロシェンコ氏が、ウクライナ調整に関するミンスク合意のその他の要求、例えば、ウクライナの連邦化に関する住民投票実施やドンバスへの自治権の付与といった項目を遂行して初めて行える」と回答している。しかしポロシェンコ氏は、国の連邦化を実施する事が出来ない。そんなことをしたら、ウクライナの民族主義者達に打倒されてしまうからだ。彼は、ミンスク合意の最も簡単な要求の数々にも違反している。なぜなら、彼の軍隊は、銃火器を使用したものも含め、ドンバス地方での攻撃を止めておらず、明らかに新たな攻撃を準備して、ドンバス地方との境界地区に部隊を集結させ続けているからだ。ウクライナ軍の急襲作戦によるドンバス占拠の新たな試みがなされた場合、義勇兵達は攻撃を撃退し、彼らはキエフを奪い取るまで反撃を止めないだろうという専門家達の警告も、ポロシェンコ氏の行動に歯止めをかけられないようだ。
しかしポロシェンコ氏は、東京で日本の人達には、そうした事は一切語らなかった。その代り彼は、ウクライナへの投資呼び込みに努めた。彼は「ウクライナでのオフシェア口座使用を不可能にする本格的改革実施を計画中だ」と述べた。
つい最近の「パナマ文書」スキャンダルにおいて、彼自身の名前も取りざたされている事に関連して、ポロシェンコ氏は、オフシェア、つまり租税回避問題について言及しているが、すでにウクライナ国内では、野党勢力が、ポロシェンコ氏がパナマに秘密のオフシェア・カンパニーを設立していたとして、大統領職辞任を要求している。パナマを通じて、ポロシェンコ氏は、自分のチョコレート会社Roshenを経営している。なおこの会社の大部分は、ロシア領内にある。つまり、ポロシェンコ氏の言葉によれば「ウクライナを侵略している国」に、その会社のほとんどが存在するのである。
このように、ポロシェンコ氏の発言は、全く支離滅裂である。日本の方達も、この人物のせいで混乱させられたのではないか、惑わされたのではないかと私は興味を持っている。