以下ヴォロンツォフ氏の見解を抜粋して、皆さんのお伝えしたい。
「実際これまで、北朝鮮は、彼らがしなかったことに対する制裁によって罰せられてきた。長距離戦略弾道ミサイルの打上げ実験は、まだ行われていない。打上げられたのは、人工衛星で、それも一回目は失敗、二度目にやっと成功した。人工衛星打上げに対し罰を課すのは、国連の権威を台無しにする。なぜなら、宇宙空間の平和的開発は、国際法により、例外なくすべての主権国家に保証されているからだ。北朝鮮以外、すべての国が可能なことなのだ。
あらゆる事から判断して、北朝鮮は『自分達がしなかったことに対しても、やはり罰せられるのなら、してしまう必要がある』と決めたようだ。今も北朝鮮国内では、大陸間弾道ミサイル製造に向けた措置が講じられている。これは、今後北朝鮮が核実験を放棄するつもりのない事を考慮するなら、不安を呼び起こす。北朝鮮は今や、何らかの実験を、事実上ノンストップで行っているからだ。」
「北朝鮮は、何度となく米国に対し、新たな平和合意調印の開始を提案してきた。なぜなら1953年の臨時停戦合意は、すでに古くなってしまったからだ。昨年北朝鮮は、全く抜本的な提案を出した。米国は軍事演習を凍結し、北朝鮮は核実験を凍結するというものだ。しかし米国とその同盟諸国は、北朝鮮が一方的に、自国の核プログラムを放棄すべきだとの要求を持ち出した。これは、事実上、何の保証もない北朝鮮の降伏を意味するものだ。歴史は、前提条件の遂行が誰かを助けた例は少ない事を物語っている。北朝鮮指導部は、リビアのカダフィ政権の悲しい二の舞を踏みたくはない。彼らは、自分達の条件で交渉する用意ができている。 まずは平和条約を結ぶ。信頼の雰囲気ができれば、核ミサイルプログラムのようなデリケートな問題も話し合う事は容易だろう。」
とはいえ米朝交渉の為の秘密のチャンネルについて、そうしたものはないと断言する事は出来ない。 世界が、思いもかけず、米朝が何らかの合意に達したと知ることもよくあることだ。例えば1994年、米国と北朝鮮は枠組み合意に達し、それにより北朝鮮の核プログラムは凍結された例がある。合意が効力を発していた8年の間、朝鮮半島は実際、最も穏やかな時代だったと言ってよい。