これは日本経済にどのような影響を与えるのだろうか?モスクワ国際関係大学東洋学科のドミトリー・ストレリツォフ学科長は、次のように語っている-
「現在パリ協定に関する義務は、温室効果ガス排出量を厳格かつ法的に義務付けている京都議定書とは異なり、自発的な性格を有している。これは米国や中国のような主要排出国が同議定書に参加しなかったため、当初発表された京都議定書の目標を達成できなかったことと関係している。米国は京都議定書への署名を拒否し、自国を途上国とみなす中国は特恵を利用している。最初から同システムの積極的な参加国であった日本でさえも、6パーセントの温室効果ガスの排出量削減という自分たちの義務を果たすことができなかった。これは2012年末までに行われなければならなかったが、日本では2011年に福島第1原子力発電所の事故が起こった。フクシマの後、日本はさらに炭化水素資源に頼ることを余儀なくされる状況にある。もちろん何らかの目標は実現できたが、それは日本で排出量が削減されたからではなく、単に技術が発展したからだ。日本はこの技術を他の国でも導入した。例えば中国だ。そしてこの排出量削減は、日本が成し遂げたものとしてみなされた。いずれにせよ日本では2030年までに約20パーセントの電力が原発で生産され、さらに20パーセントが再生可能エネルギーからつくられるが、大部分はガスと石油となる。このような状況の中で、日本にとって鳩山由紀夫政権が発表した排出量削減に関する大きな義務を履行するのは難しいだろう。」
「スプートニク」は、ガスや石油のエネルギーを拒否するのは不可能だという他に、どのような問題が排出量削減に関する日本の義務履行に影響を与える可能性があるか?と尋ねた。ストレリツォフ氏は、次のように答えている-
「日本は、産業大国であり続けると思われるが、見たところ、産業生産シェアは増加しないだろう。日本は従来通りグリーン発展や再生可能エネルギーにかけているが、それらは今のところ非常に高価で、多額の政府補助金を必要としている。日本は京都議定書の延長を積極的に支持する一国だが、温室効果ガス排出削減への日本の貢献は、国内外で『汚れた』エネルギー源の拒否を規定しているグリーン発展プログラムの枠内における日本の技術にかかっている。例えば、日本は中国で石炭の拒否、あるいは環境汚染物質を取り除く技術を用いて石炭を使用するクリーンテクノロジーへの移行などに関するエネルギー分野での一連の共同プロジェクトを続けている。このようにして日本は、世界中に自国の環境に優しい最先端技術と、環境への配慮の例を示している。いま中国でさえも日本の環境基準を目指して努力している。そのため『グリーン超大国』としての日本の役割は維持されている。」
「スプートニク」は最後に、環境への配慮が日本経済の発展に脅威を与えることはあるか?と質問した。ストレリツォフ氏は、次のような見方を表している-
「その逆だ。排出量とエネルギー消費量の削減に関する日本の義務は、日本経済が発展するための促進力をつくり出している。」