米国産のガスは、長い間ロシアが支配的な位置を占めてきた供給過剰気味の欧州市場に深刻な動揺をもたらす可能性がある。現在ロシアの「ガスプロム」は、欧州の消費国が必要とするガスの三分の一を供給している。例えばドイツはガスの半分を、イタリアは三分の一をロシアから輸入している。またノルウェーやアルジェリア、そして中東諸国も、欧州への巨大ガス供給国だ。
米国産ガスの参入は、欧州での価格争いを引き起こし、まず消費者価格が下がると見られている。「ウォールストリート・ジャーナル」の専門家の予想では、欧州に供給される米国産ガスは、百万英国熱量単位(MMBtu)あたり4,3ドルで、ロシア産の5,8ドルより安く、ロシアが価格を3ドルまで引き下げる可能性も否定できないとのことだ。
なお先に米国は、40年間効力を持った輸出禁止措置を解除し、原油の欧州への供給を再開した。