北朝鮮の閉鎖性は、この国を悪い意味でからかう理由となった。西側では、北朝鮮といえば荒廃と飢餓が蔓延し、何かといえば核兵器を使って威嚇する国としてのイメージしかない。この間違ったイメージを修正するために、北朝鮮指導部は、いつものように賢明な行動に出た。指導部は、朝鮮労働党の党大会に外国人ジャーナリストを招待したのだ。しかし外国人ジャーナリストたちを数時間におよぶ党の会合に縛り付けておくのではなく、見学ツアーを企画した。
金日成主席の生誕地とピョニャンにある先端工場を訪れたあと、外国人ジャーナリストたちにはピョンヤンの地下鉄が紹介された。なお平壌の大学で学ぶ大学生でない限り、外国人がこの地を訪れるのは簡単なことではない。しかしピョニャンは訪れるに値する。地下鉄路線図を見れば分かるが、駅の数はそれほど多くない。
なお平壌の地下鉄の車両は非常に古く、約60年前にドイツでつくられたもののように思われる。だが今、新車両も導入されており、十分に現代的だ。とはいえもちろん、デザインや内装は中国のみならずモスクワの地下鉄にも劣る。だが少なくとも北朝鮮で地下鉄の近代化が全速力で進められているのは明らかだ。
西側のジャーナリストたちが、地下鉄で見たものをどのように受け取るかはまだ分からない。あるジャーナリストは前回ピョンヤンを訪れたとき、地下鉄のレポートで「北朝鮮は地下鉄とミサイル以外に誇れるものは何もない」とコメントした。
これは真実ではない。ピョニャンでは今、美しいマンションが建てられており、昨年5月、大同江(テドンガン)の川沿いのミレ(未来)通りには、40-50階建ての高層マンションが建設された。そのうちの複数のマンションは学者のためのものだ。ソ連時代と同じように、マンションの住民たちは、高い生活文化を目指し、誰が自分の家を頻繁に掃除しているかを競い合っている。競争結果は、1階の入口付近に貼られている表で示されており、「優勝者」の家のドアの上には、ここに住む家族が先軍政策実現を成し遂げたことを証明するプレートが飾られている。
ところで、面積210平方メートルの家の清潔さを維持するのは簡単なことではない。しかし家主であるピョンヤンの大学の工学部の学部長は、それをやり遂げ、さらに突然の客たちのためにビールまで用意した。
マンションには、まだ入居していない家もある。人々は高層階に住むのを断っているという。その理由は、北朝鮮ではエレベーターが止まる原因となる停電が良く起こるからだ。その責任はもちろん、陰謀と制裁によって北朝鮮の原発建設を失敗させた米国人にある。これによって米国人が勝ち取ったものは何か?北朝鮮の人たちはエレベーターには乗らないが、核爆弾をつくった。果たして米国人は、それで楽になったのだろうか?