このプロジェクトを進めた学芸員のディアナ・ファルマコフスカヤさんは、写真展のオープニングで「私達は、あらゆる地理的多様性の中で、夜という形象を創り出そうと試みました。どうかお楽しみください」と述べた
「夜」をテーマにした現代アジア写真展と同時に、東洋美術館では14日から、同美術館が所蔵する重要なコレクションの一つ、ティムール朝サマルカンド政権の第6代君主であり、ムガル帝国の初代皇帝であるバーブル (1483 — 1530)の回想録である「バーブル・ナーマ(バーブルの書)」も公開展示される。
日本の夜景は、二人の写真家により紹介されている。中心的展示は、「東亰」,「ULTRA」そして「龍宮」と題された3つのシリーズからなる中里和人氏の夜景作品で、またジュンク西村氏は、東京やソウルの夜の街頭を写した作品を出品している。
モスクワでのオープニングに自身出席した中里氏は、次のように述べた-
「私がロシアを訪れたのは、今回が2度目です。ロシアには2年前に初めて来ました。その時、ロシア人が自然を受け入れる感覚が、自分達に近いと感じました。私は、ソクーロフやタルコフスキイ、パラジャーノフといったロシアの映画監督の作品、そしてドストエフスキイの小説やマヤコフスキイの詩が大好きです。」
なお日本の写真家の作品について、学芸員のディアナ・ファルマコフスカヤさんは、スプートニク日本のアンナ・オラロワ記者のインタビューに応じ、、次のように述べた-
「この展示会は、東洋の夜は違うというのではなく、東洋の夜は大変多様だという事を紹介するものです。中里氏は、この企画のまさに立役者です。彼は、独自の興味深いスタイルを持った人物で、彼には自分なりの流儀があります。デュッセルドルフ美術アカデミーの写真学科には独特の特徴がありますが、中里氏はその美学を受け継いでいます。展覧会で紹介されている彼の写真には、人は写っていません。建物と自然が、人物を通さず直接、それを見る本人と対話するのです。
なお韓国からは、キム・スィンヨン氏の作品が紹介されている。彼は、ソウルのホンイク大学の教授で「メゾチント」という手法を使っている。この技術によれば、凹版印刷によって写真の像をより暗くすることができる。
台湾の夜は、チョウ・リー氏の作品で見ることができる。彼は、2007年度の台湾若手写真家コンクール優勝者だ。この他、今回の国際展示会には、ロシアの若手写真家アレクセイ・アメリュシキン氏も、いくつかの夜景写真を出品している。
国際写真展「夜」は、5月29日まで開催されている。なお世界的に広がっているイベント「ナイト・ミュージアム」(夜間も美術館や博物館を一般公開するという特別日)について言えば、今年はロシアに5月21日に当たっている。国立モスクワ東洋美術館は、この日、夜の11時までやっている。当日は入場無料だ。
なお14日、写真家の中里和人氏は、東洋美術館で特別講演を行う。