もちろん、被爆者の意見は一枚岩ではない。小学生のときに広島で被爆した山田玲子さんはスプートニクの取材に対し「オバマ大統領が被爆地を訪問し、被爆者と直接話をし、核兵器を使わないと誓うことが謝罪の代わりになる」と話してくれた。しかしこれは、謝罪がどのような形になって現れるのか、言葉なのか、行動なのかという点が異なるだけで、何らかの形での謝罪を求めたいというのが、被爆者の共通する想いだ。
日本政府の「謝罪を求めない姿勢」に疑問を呈したのは日本被団協だけではない。やはり19日に行われた記者会見で、広島出身の衆議院議員・亀井静香氏は語気を強めて次のように話した。亀井氏の姉は広島の爆心地近くの女学校におり、後年、白血病で亡くなった。
亀井氏「オバマ大統領が広島を訪問されるという予定がおありのようですが、私の姉が原爆で殺された、ということだけを申し上げるわけではありません。反省もされない、謝罪もされないのであれば、もう、おいでいただかないでほしい。それをされないで、おいでいただくとすれば、凶悪な、残虐な、そうした戦闘行為をした国の現在の代表が、我々の前に見世物として姿を現すのか。私はオバマ大統領はある部分で評価をしております。評価しておりますが、もし謝罪をされない、そういうことであれば、おいでいただくのはおやめになったほうがいいと、このように思います。もし、見物においでになるんであれば、大統領をおやめになられた後、おいでください。私も歓迎いたします。」
被団協の田中熙巳事務局長事務局長は「オバマ大統領の広島訪問については、歓迎と言える状況には、私は理解できていない。『謝罪しなくてもいい』というのは口が割れても言えません」としながらも、この訪問の実現によって「オバマ大統領個人の原爆に対する体験が質的に変わるだろう」と期待感を示している。