さてこうした状況の中で、トランプ氏は、問題を袋小路から抜け出させ、北朝鮮指導部を交渉のテーブルにつかせることができるだろうか?
スプートニク日本のタチヤナ・フロニ記者は、ロシア科学アカデミー極東研究所コリア調査センターのコンスタンチン・アスモロフ研究員に意見を聞いた―
「トランプ氏の発言と意向は、しばしば、その後の行動とは一致していない。現在彼は、朝鮮民主主義人民共和国と対話するつもりだと言っているが、これまで他の発言の中では、金正日氏や金正恩氏に対し、彼はとても強硬な物言いを繰り返してきた。トランプ氏は、この二人を厳しく罰するよう求めさえもした。その一方で、彼は定期的に、米国は、韓国と日本から部隊を引き揚げる必要がある、あるいは米軍基地にかかる費用を負担させるべきだと述べている。それゆえ、ああしたポピュリストの発言がどこに逸れてゆくのか予想するのは大変難しい。
ここで思い出されるのは、ビル・クリントン氏がホワイトハウス入りした当初、1992年から1993年の時期、逆に、北朝鮮と戦うつもりだったという事だ。しかし彼の大統領としての任期の終盤、そうした意向に反し、米国と北朝鮮は、政府要人の公式訪問を行うまでに、かなり接近した。ビル・クリントン大統領時代、オルブライト国務長官が、ピョンヤンを訪問している。またブッシュ大統領(ジュニア)も、初め、大変厳しい立場をとったが、最後の頃には、6か国協議は、ほぼ一定の成果を上げていた。こうした事を考えるならば、政治指導者のいくつかの発言やイメージで、長期的な予想を立てるべきではないとの結論に達する。」
「与党セヌリ党は、今のところ対話について何も言っていないが、もちろん、対話に最も積極的だったリーダーは、セヌリ党選出の朴槿恵(パク・クネ)大統領だった。彼女は、何度も、南北間の信頼回復について述べてきたが、この彼女の路線は、国内の右派からも左派からも支持を得られず、彼女の見解は、右へと動いてしまった。」