モスクワにあるアメリカ・カナダ研究所のエキスパートで、駐日大使を務めた経験もあるアレクサンドル・パノフ氏は、こうした日本の政治家達の積極的な動きについて、スプートニク日本記者の取材に対し「日米関係に影響を与えないばかりか、レイプ問題の最終的解決を助けるだろう」とし、次のように続けた―
「ここには何も、新しいものはありません。こうした感情的な高まりは、過去にも定期的にありました。例えば1990年代の半ばには、沖縄で少女がレイプされるという悲惨な事件がありました。当時この事件は、非常な憤激を呼び起こし、1年たっても怒りは収まりませんでした。しかし、当時もそうであったように今回も、レイプ事件が、日米間の深刻な悪化を呼び起こすことはないでしょう。もちろん沖縄の方達は、怒り心頭に達しています。中央政府も、そうした怒りに反応しなくてはならないでしょう。まして今は、米軍基地を沖縄県内の別の地区に移転させる問題を解決している最中なので、なおさらでしょう。安倍首相は、そうしたすべてのことを考慮しなくてはなりませんから、当然、サミットの際にオバマ大統領と会談する時には、この問題を取り上げるでしょう。そしてオバマ大統領はきっと、その席で憂慮の念を表し、米兵の犯罪の取り締まり強化に向け、できる限りのことをすると約束するに違いありません。しかし、何らかの特別な出来事でもない限り、日米関係が目立って悪くなることはないでしょう。」
「翁長氏は、自分の政治的立場を、もっと明確に示そうとするでしょう。彼は知事ですから、こうした事にはもっと厳しく反応しなければなりません。でもおそらく翁長氏は、オバマ大統領には会えないでしょう。しかし知事である彼にとって、面談申請をすることは、非常に重要なことです。」
続けてスプートニク記者は、今回の事件に関する日本の世論の怒りは、日米関係あるいは日米の防衛協力に何らかの影響を与えるのかどうか、質問した。パノフ元駐日大使は、短く次のように述べている―
「何の影響もないでしょう。一定期間、ぎくしゃくするでしょうが、その後、一定の措置が講じられるとの発表があり、おそらく何らかの賠償金が支払われるでしょうが、日米関係において今回の事件が、何か本質的な役割を果たすことはないでしょう。」
最後にスプートニク記者は、原則として米兵によるレイプ問題は、解決できるのかどうか、今後こうした事が繰り返されないために、できることはあるのかどうか、聞いてみた。パノフ元駐日大使は、次のように指摘している―
「犯罪を完全になくすことなどできるでしょうか? それは不可能です。ですから、今後もまた、こうした事件は起こるでしょう。ただ、その数は減ると思います。しかし、日本から米軍基地がなくならない限り、この問題を完全に解決することはできません。でも、近い将来、日本から米軍基地をなくすことなど、私は不可能だと思います。」