スプートニク:今、50年代半ばの状態に自動的に回帰することは可能か?
コーシキン氏:「共同宣言は全く異なる歴史的エポックに締結されたのであり、その第9条を今、適用しようと思えば書き換えなしには不可能だ。ロシア政府はハボマイ、シコタンを日本に引き渡す条項について廃棄通告を行う可能性さえある。これは1969年5月23日に結ばれた条約法に関するウィーン条約の第62条には『条約の締結の時に存在していた事情につき生じた根本的な変化が当事国の予見しなかつたものである場合には、次の条件が満たされない限り、当該変化を条約の終了又は条約からの脱退の根拠として援用することができない』とある。まさにこうした事情の変化というのが1977年、200海里水域宣言の導入だ。今日、日本に南クリル諸島を渡した場合、ロシアは島の領土を失うだけではない。豊かな生物、エネルギー資源に恵まれた21万海里という水域をも失うのだ。日本はこれを認識しており、ロシア側の立場を考慮している。にもかかわらず今、ロシア指導部はまた、1956年の条件を土台にして交渉を行うことに同意しているのだ。だがこの立場も変わる可能性がある。なぜならロシアの圧倒的大多数の国民が領土では日本に対していかなる譲歩も行うことに反対しているからだ。ロシア政府もこれを考慮しないわけにはいかない。」
コーシキン氏:「日本政府は第2次世界大戦の領土上の総括を認め、ロシアがクリル諸島全島を合法的に所有することを認める声明を表さねばならない。この声明は同時にこれら、または別の領土の『返還』要求を一切拒否するものでなければならない。なぜならこれは第2次世界大戦の結果を書き換える試みに見えるからだ。平和条約に締結し、それを両国の議会が批准して初めてロシア政府は共同宣言第9条の実現化についての交渉に踏み切ることができる。この交渉が討議を必要とするのは以下の問題だ。200海里の経済水域での漁業、諸島の大陸棚の資源産地の開発、諸島の軍事目的での使用。この島を軍事目的で使用する問題は、米国が日米軍事同盟を維持し、日本を自国の軍事戦略に完全に組み込もうとしているがゆえに特別な意味を持つ。クリル諸島域にロシアに対抗する米国の軍事基地を創設したり、戦略的に重要な南クリル海峡を米国がコントロールするような危険な事態をロシアは憂慮しないではいられないのだ。」