カザフスタンでは数日前、クーデターの試みが封じられた。この事件はロシア人専門家らの注目の的となったが、それは決して偶然ではない。カザフスタンは、ロシアと中国という2つの世界大国が揃う上海協力機構では、その統合プロジェクトの最重要国に数えられているからだ。このためカザフスタン国内のいかなる震動もこうしたプロジェクトの実現を危機にさらし、露中の国際的な立場を非常に弱める危険性がある。
ロシア人専門家らは、長い間カザフスタンは中央アジアで最も安定した国と思われてきたものの、不安定を産む土壌は存在すると認めている。それは現在75歳のヌルスルタン・ナザルバエフ大統領が職務権限を逸した後を狙って、この国の政治エリートの間で闘いが展開されているからだ。ところが政権譲渡のメカニズムはカザフスタンには事実上ない。加えてもうひとつ、街頭での抗議行動を触発しうる不安定要素は未解決の社会経済問題だ。その他にもカザフスタンではイスラム主義者のグループも無秩序を引き起こしうるが、こうした者たちが今回の軍事クーデターの背後にいたことがカザフ政権の公式的発表でも明らかにされた。西側が、カザフの反体制エリートやこの国の情勢を不安定化させるイスラム主義者の努力に全く関与していないとはとても想像しがたい。いずれにせよ、カラー革命という戦法を止めようとしない米国はこのカザフの不安定要素を必ずや利用しようとするだろう。
サタノフスキー氏は「ロシアはこの場合、必要性に応じるという形で行動するだろう。カザフ指導部転覆の企てがあまりに大規模で、指導部もロシアの支援行動なしには太刀打ちできないという場合、ロシアは集団安全保障条約機構、上海協力機構、ユーラシア経済連合の一員として、ウクライナのシナリオがカザフで繰り替えされないために、エジプト、チュニジアの二の舞にならないために、あらゆる必要なことを身に引き受けると思う」と語っている。
ここで補足しておきたいのだが、カザフスタン情勢の不安定化にロシアと劣らず無関心ではいられないのが中国だ。なぜなら中国は自国の提唱する新シルクロード・プロジェクトの主要国としてカザフをとらえているからだ。
つまり、それが誰の気にいるか、気に入らないかにかかわらず、カザフの安定にはそれを保証するロシアと中国という双璧が存在している。