「ロスラオ」のレニングラード支部は、すでに1962年に基礎が作られた特殊企業「ラドン」の後継企業で、液体及び固体放射性廃棄物の処理、運搬そして保管に携わってきた。
「ロスラオ」レニングラード支部の代表者によれば、原子力発電所などから出る汚染水から放射性物質トリチウムを取り除くことができる最初の装置を開発し始めたのは、2008年から2011年の時期だった。
福島第一原発の敷地内にたまった汚染水からトリチウムを除去する装置製造に向けての国際入札実施を、日本政府が発表するまでに、ロシアでは、水からトリチウムを除去する技術は開発されていた。そして浄化の効果は日本側が必要とするものより100倍も高い水準にあった。
日本での国際入札のために作られた装置は、一度に3つのテクノロジーが使用されている点で特にユニークだ。その三つとは、摂氏60°Сでの蒸留による水の浄化、CECEプロセス(廃液処理法の一種)、そして固体トリチウム廃棄物生成の際のスポンジチタンの利用である。これにより、汚染水を蒸気にして、トリチウムを水から分離させ、最終的に金属と混ぜて固形にすることができる。
試験装置は半年かけて建設され、2016年2月に三菱総合研究所の代表らが公開用の施設を査察、そして3月31日、福島第一原発の汚染水処理用施設建設の入札の期限が切れた。現在日本側は、入札参加者に足りないデータを要求し、結果を検討中だ。
ロシアの「ロスラオ」以外に、国際入札には、米国のKurionや、カナダ・日本共同のGE/Hitachiが参加し、勝利を目指し戦っている。
スプートニク日本のオラロワ記者は「ロスラオ」レニングラード支部の指導者アレクサンドル・ボグツキイ氏に話を聞いた-
「我々は、自分達のプロジェクトが、他より効果的で有益であることを証明するため、あらゆることをしている。我々は、日本の人々を助けることができるだろうと大変期待している。ロシアの設備が適用されるかどうかの決定は、日本側にかかっている。」
汚染された水からトリチウムを除去するシステムの製造には、ロシアの原子力公社「ロスアトム」に所属する5つの会社の150人以上の専門家が携わった。彼らの予想では、カスケード方式、つまり福島第一原発内に連続し数珠つなぎとなった40の浄化施設からなるカスケードを建設することで、5年から6年の間に83万立方メートルの汚染水が浄化できる。その際、装置の開発に当たったセルゲイ・フロリャ主任は「長期的処分の対象となる固形トリチウム廃棄物は、全部で3立方メートルの容積のコンテナ40個分にしか過ぎない」と述べている。なおコンテナ中のトリチウムが崩壊する期間は、およそ150年である。
ロシアでは、液体トリチウム廃棄物を海洋に捨てることは禁止されている。セルゲイ・フロリャ主任は「こうした放射性廃棄物浄化装置は、日本での入札条件に合わせて作られたものだが、ロシアのあらゆる原発にも設置することが可能だ。そうなれば、原子力発電所の稼働の際に形成されるトリチウムを含んだ水の浄化にかかるコストを、将来的には本質的に減らす助けになるだろう」と指摘している。
今年1月から3月にかけて、この施設で実証試験を行い、福島第一原発とトリチウムの含有量が同じレベルの汚染水からトリチウムの除去に成功したということです。
この施設では、汚染水を蒸気にして、トリチウムを水から分離させ、最終的に金属と混ぜて固形にするため、容量を大幅に減らすことができるとしています。
ロシア側の試算では、建設費と施設の運転費用は合わせて790億円で、およそ5年間で汚染水を処理できるということです。
日本政府の専門家チームは、ことし5月に汚染水を薄めて海に放出する方法がコストが安く最短で処分できるとする評価結果をまとめていますが、最終的な結論は出ていないため、ロスアトムは、日本での採用を目指してみずから開発した技術をアピールしました。