先週、米国務省の役人約50人が、シリア政府軍への空爆開始を呼びかける、内部用とされたメモランダムに署名したことが明らかとなった。米国務省の役人たちは、これがテロ組織「ダーイシュ(IS、イスラム国、ロシアで活動が禁止されている組織)」と戦い、シリアに平和をもたらす唯一の手段だと指摘している。米国務省のジョン・カービー報道官は呼びかけの事実を認めたが詳細については明らかにせず、ただ指導部が検討していると指摘した。
攻撃は特に巡航ミサイルで行うことが提案されている。巡航ミサイルは遠くから発射することができるため、シリア政府軍はこのような攻撃に対応することができない。米国主導のNATO軍は1999年、ユーゴスラビアでの作戦でまさにこのような形で行動し、ユーゴスラビア当局に政治対話の開始を余儀なくさせ、コソボの独立宣言で幕を閉じた。
NYTのジャーナリスト、マックス・フィッシャー氏は書簡のテキストについて、「複数の人たちは、(シリアでの)戦争にはロシアとイランが積極的に参加しているためこのような比較は間違っていると語り、米国のあらゆる攻撃を除去するためにロシアとイランがシリア軍への支援活動を強化する可能性があるとの見方を示している」コメントした。
フィッシャー氏はまた、書簡にはシリア紛争が終了するために解決する必要のある重要な問題が欠落していると指摘し、「書簡では、和平合意がどのようであるべきかについての同盟国間の深い意見の相違を取り除く方法についてさえ述べられていない。書簡では、ロシアが間違いなく国連でブロックするであろう、シリアに対する戦争の法的根拠が提示されていない。書簡では、シリア政府を崩壊させることなくアサド大統領を退陣させる方法について述べられていない。書簡はむしろ具体的な代替手段を提案するよりも、現行政策への失望あるいは憤りを確認させている」と主張している。