政府観光局の統計によれば、日本を訪れたロシア人の数は、昨年2015年の1年間で約5万4千人。ルーブル安の影響で海外旅行に行くハードルは高くなっているものの、訪日者数は前年比115%と、堅調に伸びを示している。長期休暇が法律で認められているロシア人は、せっかく来たのだからと長く滞在するケースも多く、宿泊延べ日数が中国人、韓国人を上回るケースもあるという。しかしロシア・ルーブルは日本ではマイナーな通貨とみなされているため、限られた空港や大都市の両替ショップ以外では、ルーブルを円に両替できる場所はほぼ皆無だった。多くのロシア人が、あらかじめドルやユーロに両替した上で、日本へ現金を持ってきていた。
ルーブル以外には、米ドル、ユーロ、英ポンドをはじめとした17通貨を扱っている。外貨両替機の設置者、例えばホテルなどは、その中から好きな通貨(最大12通貨)を選ぶことができる。対面での外貨両替とは違った機械ならではのメリットは、万が一、偽札が混じっていたとしても機械が鑑定してくれることや、言葉ができなくても、設置者と利用者が互いに安心してサービスを利用することができる点だ。もちろん、対面両替所と違って、営業時間を気にすることもない。ルーブルに関して言えば100ルーブル(6月28日現在で約158円相当)札や50ルーブル札を含む全種類の紙幣を受け入れており、細かい金額でもその場で両替できる。
このサービスを展開するカレンシー・ワークスの高月照久代表取締役は、外貨両替機のニーズはより高まっていくだろうと見ている。
高月氏「日本がインバウンドで盛り上がっているということもあり、両替機を設置したいというニーズは、とても強いですね。インバウンドというとアジアからの観光客が主ですが、エリアによってはロシアからのお客様がとても多いところもあります。インバウンドのビジネスをプロモーションしようという時に、まず外貨両替サービスを準備したほうがよいのではないかと考える施設は多く、少なくとも東京オリンピックまでには、外貨両替機のニーズはどんどん高まる一方だと思います。」
最もロシア人に人気のある桜の季節に向けてルーブル両替可能な両替機の設置が広がっていけば、日本旅行がより便利に、快適になることは間違いない。