連邦院国防委員会エヴゲーニイ・セレブリニコフ第一次長は、ロシアは韓国への米国ミサイル防衛展開への応答を準備していると述べた。ロシアの東部に韓国のTHAAD領域に到達しうるミサイルをともなう何らかの軍事ユニットを配置する可能性があるという。また、ロシアはクリル諸島の軍事基地復元計画を前倒しする可能性も排除しないという。
「アジア太平洋地域における米国の軍事力増大に対するロシアの応答に、クリル諸島の軍事基地復元は論理的に適合する。ロシアはそれが欧州におけるそれと同様、グローバルミサイル防衛システムのアジア太平洋地域における完全導入が始まるステップとなることを心配している。ヨーロッパでは、米国は、ミサイル防衛は排他的にイランのミサイルに対して向けられているとロシアに保証した。今、韓国への米国THAADシステム配備について、同じ説明が、韓国の北朝鮮ミサイルからの防護という形で、アジア太平洋地域において繰り返されている。我々が、THAADシステムは地域のミサイル防衛システムの一部となりうる、と言うと、そのような決定はなされていない、したがって、いかなる心配もない、と言われる。ヨーロッパで同じ説明を聞いたなら、ロシアはそれを信じてみることもできただろう。専門家には、THAADシステムの展開によって地域における戦略的な均衡が破壊されることはあまりに明確だ。それは非常に重大な結果、世界的な紛争の勃発にまでつながりうる。それはロシアが許容できないことだ。応答は必須だ、ということだ」
ロシアと中国が、米国の行動による悪影響を含め、グローバルな戦略的安定性に関連する問題で同じ立場を共有していることが重要だ、とロシア外務省。これに関してトロラヤ氏は次のように語る。
「ミサイル防衛の配備に関する決定が、それに対するロシアと中国による反応が非常に先鋭な中でとられたことは、驚くべき拙速だ。中国については、韓国の領土にTHAADシステムが展開されることは、そのレーダーが北中国東部の大部分をカバーし、北京によるミサイル発射やその他の軍事活動を追跡することを可能にすることを考えると、中国にとっての直接の脅威だ。しかし、最近まで、妥協点を見出すために、近隣諸国の意見を集め、この問題を徹底的に調査する、などと言われていた。実際には、意思決定は非常に迅速に行われた。これは、誰も本当に計画を放棄するつもりはなかったことを意味する。そして、近い将来、北朝鮮の新たな核実験または何らかのスキャンダラスな行動が誘発されるだろうと思う。それが諸国民への説明になる。そら見たことか、北朝鮮がこのように予測不可能であるからこそ事を急いたのだ、と」
一方、地域の軍拡競争も予測が難しい状況になっている。なぜならその加熱は必然的に、外交だけでなく、軍事技術的実行においても、ロシアと中国の対称的応答を呼ぶからだ。