急激な高齢化は日本に何をもたらすか?

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15日、日本のマスコミは、19歳の女性が、自分が働く老人ホームに放火を試みたとのニュースを伝えた。まだ日本では、障害者施設の元職員が、自分が勤務していた施設を襲撃し多くの障害者をナイフで殺害した事件の記憶も生々しく、新聞雑誌・放送では、今も様々に取り上げられている。犯人の植松聡容疑者は、取り調べの中で「自分のやったことを後悔していない。なぜなら自分の行動によって多くの問題を持った、たくさんの病人が救われたからだ」と述べた。

なぜ日本人は子供を持つことを望まないのか? - Sputnik 日本
なぜ日本人は子供を持つことを望まないのか?(動画)
この2件の一見何のつながりもない事件は、こうした種の犯罪の行動規範から逸脱したものではないのか? あるいは、日本の若者達の間で、年配の人達を重荷とみなす傾向が徐々に広がり、彼らに対する残酷な態度に歯止めがかからなくなってきたことに対する、世間への警鐘ではないのか? ロシアの日本問題専門家、ヴィクトル・パヴリャテンコ氏は、スプートニク日本のタチヤナ・フロニ記者のインタービューに応じた中で「今回の悲劇から、日本社会が高齢者に対し無関心であると捉えるべきではない」と指摘し、次のように続けた-

「今回の事件は、それぞれ個別だが、もちろん、必ずや注意深く見る必要がある。事件は、なんらかの形で障害者や高齢者の施設に入り込むことのできた攻撃者の心理状態によって、明らかに引き起こされた暴力行為だ。 しかしいずれにしても、日本社会は高齢者に対し若者達が厳しく接する傾向にあるとのレッテルを張ることはできない。それは言うまでもない。国民の中で労働人口が減少し、あべこべに、年金受給年齢に達した人々が実際増えており、 国民が、経済的に発展した他の国々よりも、全体として、はるかに急速に進んでいるとしてもである。

高齢者介護も、問題となっている。しかし実際のところ、これは日本ばかりでなく、先進国すべての問題だ。まして多くの国々は、国民の寿命を延ばすことを目指している。なぜなら、平均寿命の長さは、生活水準の高さを裏付けるものだからだ。つまり寿命の延びが、肯定的な現象であることは、全くもって明らかなのだ。

その際、一部の社会では、子供達が、自分の両親の面倒を自宅で見ている。別の社会では、高齢者は老人ホームで暮らし、そこで他人である施設の職員が、彼らの面倒を見ている。 お年寄りを尊敬し大切にする社会もあれば、何もできない厄介者、価値ある経済資源を無駄に食いつぶす者と見る社会もある。

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そうした中、経済危機と独自のやり方で戦うよう提案した麻生元首相,現財務大臣の発言は、特筆すべきものだ。彼は、日本の社会保障費の負担軽減のため、高齢者は『さっさとこの世を去るべきだ』といった考えを示した。」

その際、彼は、自分の余生を維持するために巨額の負担を国が負うという事を知り、それは具合が悪いと感じて、そうした考えを思いついたと述べている。国の№2のそうした発言は、結局、政府の同僚も含め、あらゆる方面から批判を受けた。そのため麻生氏は、ああした考えを公に口にしたのは誤りであったと謝罪したが、考えそれ自体を、彼が放棄したのかどうかは分からない。

「麻生氏の発言は、日本社会を動揺させたが、その事は、日本社会が、考えられているほど一つにまとまってはいないことを示した。政治家一人一人、まして麻生氏のような高い立場にいる政治家はもちろん、自分の発言に責任を持たなくてはならない。その発言が、自分が属する内閣のイメージにどれだけ反映するか考慮すべきだろう。また麻生氏は、日本において、傑出した政治家達を輩出している家族のプリンスと呼ばれる身である。しかしそうしたグループの出身者で、自分にああした普通と違った発言を許しているのは、麻生氏一人である。そこには、他の理由もあるだろう。とはいえやはり、彼が、自分の発言にどんな反応があるかなど全く頓着していなかったのだ考えたい。」

不注意な発言は、精神的に逸脱したものを持つ病んだ人達により、全く間違った意味で受け取られてしまう危険がある。高齢者そして彼らのこれまでの人生危険に尊敬を持って接しているいかなる健全な社会であっても、それは例外ではない。それゆえ社会は、高齢者に思いやりを持って接するばかりでなく、いわゆる『銀の世代』の人々が老年期を、ふさわしい形で迎える助けができるような力を持つものであると信じたい。

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