日本企業が最終的な決断を下す要因となるものは何か?そしてこれは英国経済にどのような影響を与える可能性があるのだろうか?日本の政府委員会の報告書によると、2015年の日本の欧州向け投資の約半分が英国向けだった。日本企業は欧州でおよそ44万人の雇用を生み出しており、その多くの部分が英国に集まっているという。
通信社「スプートニク」は、世界経済・国際関係研究所の経済学者で日本専門家のエレーナ・レオンチェワ氏に話を聞いた。レオンチェワ氏は次のように語っている-
「英国政府の決定は日本のビジネス界を驚かせたと思われる。なぜならこれは曖昧さを引き起こしたからだ。このはっきりしない不明瞭なことから逃れたいという気持ちはビジネスの世界にとっては自然なものだ。ロンドンにとってはもちろん損失だ。なぜならロンドンは国際金融センターだからだ。もしロンドンの金融取引所に上場している日本を含む大企業がロンドンから撤退したら、恐らくそれらの株価は下がるだろう。そのため英国にとっては金融と産業というあらゆる方面からの損失となる。そこには雇用も含まれる。現時点でBrexit(英国のEU離脱)に関する決定は、英国の利益にはならない。一方でテリーザ・メイ新首相は、これがほぼ全世界を驚かせたのが明白であるにもかかわらず、EU離脱の決定を放棄する意向はない。」
「企業の移転は長い時間がかかると思われる。だが一方で日本は今自分たちの金融資産をまずアジア太平洋地域に集中させている。まさに同地域に現在、日本企業の最も大きな投資が向かっている。大規模な生産拠点も日本からアジア太平洋地域へ部分的に移っている。その理由は、日本では給与と税金が高いことにある。日本の財政赤字は非常に大きいため、税を引き下げることができない。なおどれほどの痛みを伴うかは時間が経てば明らかになるだろう。今判断を下すのは難しい。なぜなら移転しようとしているのは、日本の主な輸出産業の企業だからだ。しかし、すでに指摘したように、日本の輸出産業は自らもずいぶん前から移転を目指し、拠点を日本からアジア地域の他の国へ移すことが多くなっている。アジア地域は今日、日本企業にとって多くの意味で安価であり便利なのだ。」
またレオンチェワ氏は、日本経済の見通しとして、日本にとって悲劇的な事にはならないだろうとの見方を示し、次のように語っている-
「日本の成長率は今非常に低い。その一つは、日本から資金が出て行っていることが原因だ。第一に海外の生産拠点へ資金が流れている。また日本の人口状況が非常に悪いこともその理由の一つとなっている。人口高齢化と家計貯蓄率の低下もある。シニア世代の人々がミドル世代に自分の貯蓄を渡し、彼らがそれを使う。だがこれら全ては非常に長期的な傾向だ。日本の成長率は今年およそ1.5パーセントになる見込みだ。今の日本経済ではこれ以上は無理だが、これは日本経済にとってそれほど悲劇的なものではない。」
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