「闇をめぐる旅」第二部、福島第一原発 【動画・画像】

© AP Photo / Greg Baker福島第一原発20キロ圏内
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スプートニクが引き続き地球で最も恐ろしい核施設、チェルノブイリおよび福島第一原発へのバーチャルツアーにご案内する。今回は日本。福島第一原発事故は2011年とごく最近に発生したもので、事故処理はまだ終わっていないが、既に制限区域へのグループツアーが行われている。週末を放射能遺跡で過ごしたいものだろうか。こうしたツアーのガイドとなるような好事家とはどのような人たちか。これほどおぞましい災害の現場を訪れることをそもそもツーリズムと呼べるのだろうか。スプートニク日本が解明を試みる。

「闇をめぐる旅」第一部、チェルノブイリ

福島の観光開発の音頭を初めて正式にとったのは日本の哲学者東浩紀氏だ。『福島第一原発観光地化計画』というプロジェクトが提唱された。プロジェクトが提唱されたのは被災後わずか一年の2012年の秋。世界中の人が福島を訪問し、汚染除去のプロセスの進行状況を自分の目で観察することができるように、との狙い。2036年には訪問者が防護服なしで事故原発からわずか数百メートルの距離まで近づくことができるようになる計画だった。しかし、このプロジェクトは、県当局によって根本から粉砕された。事故現場に対して「観光」という言葉を使用すること自体が否定された。

東氏は計画策定に際しチェルノブイリの経験を参考にした。自身が繰り返しチェルノブイリを訪れ、「チェルノブイリ・ダークツーリズム・ガイド」という本も出している。現在は同原発への日本人の訪問希望者向けにツアーも組織している。

プロジェクトは県当局によって拒否されたが、福島の観光客はたしかに存在し、その数も少なくない。こうした旅行を組織している団体のひとつがNPO法人野馬土だ。代表理事の三浦広志氏はスプートニクのインタビューで、故郷の南相馬訪問希望者のために初めてガイドをやったのは2012年4月のことだったと語る。以来、訪問希望者は増大の一途という。

「原発事故があった翌年の2012年4月15日に警戒区域が解除されて以降、私の家のあった南相馬市小高区を中心に、訪問希望者の見学したいという要望に応えて案内していた。2012年10月にNPO法人野馬土を設立し、この事業を引継ぎ、『福島第一原発20km圏内ツアー』として開催している。2014年までは、ほぼ私一人で5,000人以上の方を案内していたが、2015年からは、案内スタッフやボランティも増え、これまで1万人以上の方々の参加があった」。

また、三浦氏は、除染作業の進み具合、将来福島にどのような危険性があり得るかについて語った。

「福島第一原発の現状は、次第に福島県外のメディアから報道されることが少なくなり、「極端な危険性」や「根拠のない安全」が振りまかれている。私は、福島原発から12kmの所に住み、農業を営んでいた。そこは、津波の後、ほとんど何も手付かずの状態で放置されている。また、政府も溶け落ちた燃料を取り出す時に臨界事故の危険があると発表している。それでも、日本政府は、避難指示の解除を急速に進めている。これから、原発事故の後始末が始まるところだ。今後、地震・津波などが再度発生したり、廃炉に向けた作業中に、なんらかの爆発や放射性物質の飛散が起こる可能性がある」。

スプートニクはまた、旅行社サイト経由で関心を持った世界中のゲストを福島に呼んでいる個人ガイド平井有太氏に話を聞いた。インタビューで平井氏は、外国人はたくさん来ているがロシア人はまだいないという。

「来ていただく方は、研究者であったり、学生であったり、何かしら自分の住む場所、ご家族が置かれた状況、過去の経験など、どこか自らの人生を投影できる部分があって、研究課題として福島に来るケースが多いように感じる。他にはメディア、映画監督などの取材対象として、ということもある。団体で来る場合は2、30人いらっしゃるし、一人も来ない月もある。外国の方は多い。ロシア人は、私のところには来たことはないが、他の方のところに来た、ウクライナやベラルーシからの訪問客については、聞いたことがある」。

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平井氏は、ツアーは県の復興に重要な役割を果たすことができると考えている。

「外部からの目が福島に向けられていることを、県内の市民が知ること、自覚することは、大きな意味を持つと思う。起きたことについて、例えば「忘れたいけど、忘れられたくない」という複雑な心理がそこにはある。また、このような事態が2度と起きないよう、その教訓となることは、福島県民の自信や誇りに繋がることと思う。また、日本社会は内部の声をかき消しがちだが、外部の声には耳を貸しやすい傾向がある。現状を見て、感じて、発言されたり、行動される方が県外、国外で繋がり、増えることで、県内でおざなりにされている状況に変化を与えられる可能性も増える」。

このようなエクストリームツアーの主催者や参加者の動機、このようなツアーの現実的な安全性について、今後も同シリーズでさらにお伝えして参りますので、そちらもぜひご覧ください!

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