クリル諸島の観光
1)クリル諸島を訪れるには特別な許可を得なければならない。なぜなら島は国境地帯に位置しているからだ。許可はサハリンの州都ユジノサハリンスクのロシア連邦保安庁国境警備課で取得する。
2)クリル諸島を周るコースをたてるのは結構難しい。島の数は全部で56。そのうち一番有名なのがクナシル(国後)島とイトゥルップ(択捉)島。この2島にたどり着く方法はわずか2通りでそのいずれもが簡単ではない。一番簡単な方法は飛行機。ユジノサハリンスクからイトゥルプ島のクリリスクに飛ぶか、またはユジノサハリンスクからクナシル島のユジノクリリスクに飛ぶ。ところがチケットはすぐに売り切れてしまうため、その購入は数ヶ月前に行っておかねばならない。
3)クリル諸島では大陸部に帰ろうとしても1週間、時に数週間も足止めをくうことは普通。悪天候でフェリーも出ない、飛行機も飛ばないということはざらにある。
4)クリル諸島では悪天候のほうが多い。しかも天気の変わり方が激しい。クナシル島のユジノクリリスクでは雨が降っていても、そこから13キロ離れた場所では陽がさんさんと降り注ぎ、そうかと思えばまた雨が降り、そこから17キロ離れればまたお天気ということはよくある。
5)クリル諸島で宿泊できるホテルはわずか5箇所。クナシル島にある「アイスベルグ」ホテル(3部屋)、「ヴォストーク」ホテル(11部屋)、「フラグマン」ホテル(7部屋)とイトゥルプ島にある「オーストロフ」ホテル(11部屋)、「イトゥルプ」ホテル(38部屋)の合計70部屋。1泊のお値段はダブルでおよそ3000ルーブル(4800円)。
6)クナシル島には日本軍の左足の軍靴を保管していた倉庫跡が残されている。なぜ両足ではなく、左足なのかといえば、日本軍は盗難を恐れて右と左の軍靴を別々の場所に保管していたからだ。別の場所に保管してあれば、敵が倉庫を見つけても中身を利用することはできない。
クリル諸島の自然
7)クリル諸島といえば真っ先に頭に浮かぶのが火山。諸島にはあわせて160ほどの火山があり、そのうち40箇所が活火山。
9)クリル諸島では熊に遭遇することは日常茶飯事。一番人口(熊口)密度が高いのはクナシル島のチャチ火山付近。
10)クリル諸島は珍しい猫種のクリル・アイランド・ボブテイルの発祥の地。この猫種は20世紀、大陸部にもたらされた。特徴は短く球状の尾。
クリル諸島の暮らし
11)クリル諸島の人たちはほぼ全員が自動車を所有しており、そのほとんどが日本製のジープ。ところが島にはガソリンスタンドが1軒もない。住民はサハリンのユジノサハリンスクや大陸のウラジオストクからガソリンを樽で買っている。ようやく今年になってイトゥルプ島政権は初のガソリンスタンドの開設を約束した。
12)クリル諸島では建物はみな2階建てから3階建て。5階建てはここではもう高層建築。これはすべて諸島が地震の頻発する地帯に位置しているため。
14)クリル諸島の住民の気質はオープンで優しい。島を訪れる観光客の誰もがそう語る。観光客だとわかるとどこから来たのか、どんな暮らしなのかとたずねられ、風光明媚な場所を教えられ、時には手をとってそこまで連れて行ってくれる。