レーニンスキー・プロスペクト駅にはガガーリンスキーという巨大なショッピングセンターがあって、その横に靴やスポーツ用品などのディスカウントショップがあります。まさにその駐車場の敷地内にひっそりとレストランが佇んでいて、うっかりすると見落としそうです。ずいぶん小さいな~と思ったのですが入ってみるとそれはただの「入り口」で、実際の店は地下三階くらいの深さにあります。地下へと続く扉が異常に重くて、それをやっとこさ開けると延々と下り階段が続き、本当にこんな所にレストランがあるのかな?と不安になったそのとき、店の入り口が見えてきました。
店は小ぶりな体育館くらいの広さで、シンプルな空間にテーブルが整然と並べてあります。パーテーションで区切られた半個室や、個室もあるようですが、私たちは入り口に近い席に座りました。入ってすぐのところにはバーカウンターがあって、配色が北朝鮮の国旗と全く同じでした。
ウエイトレスは普通に良い感じの、かわいいお姉さんです。紺とピンクの制服(でも全然派手じゃない。落ち着いた感じ)で、髪の毛は控えめの名古屋巻きみたいな感じです。モスクワのレストランの接客レベルはまだまだ改善の余地ありですが、北朝鮮レストランはその辺はちゃんとしてました。しかしたまに、ロシア語がほとんど通じないお姉さんもいます。新人さんでしょうか。
私たちはキンパ(巻き寿司)、チャプチェ、チヂミ、キムチ、焼肉みたいな料理(?)など定番どころを頼みました。どれもかなり美味しくてびっくり!辛すぎず、でも味はしっかり。食が進みすぎて、ご飯を追加オーダーしてしまったほどです(笑)キンパのごま油の風味は最高でした。ロシアの主流はひまわり油なので、ごま油ってロシアで全然見かけないんですよ。コスパも良くて内容には大満足です。モスクワのレストランは全体的に割高なので、日本人駐在員にも大人気なのは大いに頷けます。ただ、ロシア人男性からしてみると、一皿ごとの分量が少ないみたいです。
一番感動したのはデザートの大福で、みんなに大好評でした。小ぶりですが、やわらかくて温かくて、「これは今ここで作ってるな~」という手作り感が満載。あんこも甘すぎず、大福だけテイクアウトしたいくらいです。
唯一残念な点を挙げるとすれば飲み物ですかね?北朝鮮っぽい選択肢は全然なく、コーラとか、ペリエとか、ロシアのジュースしか選択肢がないです。お茶はジャスミン茶とウーロン茶をホットで頼みましたが、茶葉があまりよくないのか、お茶が出るまでに時間がかかるし、お湯に色が着いたころには既に渋くなってました。あとポットもかなり微妙でしたね。100円ショップの使い古しみたいなポットでした。
お客さんは一人でサッと食べていくロシア人ビジネスマンや、少人数の女性グループや、中国人のグループなど、いろんな人がいました。総合的に、レストランとしてはとってもおすすめです。
徳山あすか