こうした共同通信の報道のすぐ前に、さまざまなマスメディアが、日本はロシアに、南クリルの共同管理をロシアに提案する用意があると伝えたことも、指摘しておく必要があるだろう。しかし日本外務省は、少し後になって、この情報を否定した。今回も、そのようになった。日本外務省は、南クリル4島のうち2島におけるロシアの権利を認めるという報道ついて、日本の立場は、これまでと変わらないと否定している。
一方ロシアのドミトリイ・ペスコフ大統領報道官は、ロシアとの南クリル共同管理という日本の意向について「情報ジャンクション」だとし「朝、情報が噴出しても、その日の終わりには日本政府が、それを否定していることに注意を向けるなら、この場合、何もコメントすることはない」と述べた。この事は、大多数の専門家達の分析も確認している。領土問題に関する日本とロシアの立場は、1956年の共同宣言に書かれている事よりも近づくことはなかった。それにもかかわらず、領土問題に関する交渉の加速化や突破口を切り開くとされる、ますます新しい解決法についての情報が、絶えず現れ、マスコミで大げさな見出しで扱われている。こうした憶測はどの程度正しいのだろうか、ジャーナリスト達は、それによって読者に、一体どれほどの望ましい結果を想像させることだろうか?
ストレリツォフ氏:「私には、何らかの突破口的解決策について話すのは早いと思われる。両国の指導者は、密計を保ちながら、しかし表には何も出ないようあらゆることをした。そうしたアプローチは正しい。なぜなら、訪問前に、前もって世論をかき乱すことなど、単に何の意味もないからだ。けれども、マスメディアがいつもそうであるように、さまざまな憶測は絶えず存在する。とはいえとにかく、安倍首相とプーチン大統領が何について合意するのか、我々は、会談が終わって初めて知るのだ。私の考えでは、意外で全く特別な、いかなる解決法も期待すべきではない。しかし何らかの、この問題の解決を前進させる方向での措置、そして行動さえとられる可能性がかなりある。」
プーチン大統領は12月15日に日本を訪問すると見られている。両国の外交関係回復60周年を前に、岸田外務大臣は、プーチン訪日が高い成果を収めるよう、日本も努力を続ける意向を明らかにした。努力の中には、二国間の交渉議題に長年、差し迫ったものとして入っている領土問題の調整も含まれている。日本政府は、北方領土の返還を、第二次世界大戦終了からこれまで結ばれていないロシアとの平和条約締結の条件として提起している。一方ロシア政府の立場は、南クリルは、第二次世界大戦の結果としてソ連に編入されたもので、これらの島々に対するロシアの主権は疑いがない、というものだ。