ロシア人、便利すぎる日本食品にワクワク驚き!日露の接近は輸出ビジネスを救うか?

© SputnikTrue World Japanのブース
True World Japanのブース - Sputnik 日本
モスクワのクロックス・エキスポセンターでは、10月17日から20日まで毎年恒例の食品総合見本市「PIR 2016」が開催された。日本貿易振興機構(JETRO)は4年連続でジャパンパビリオンを設置し、日本企業は11社出展。各社は水産物や調味料、お茶など、様々な食品を紹介した。

12月にプーチン大統領が訪れることで注目が集まっている山口県からは、冷凍の牡蠣フライや牡蠣グラタンを手がける株式会社カン喜が出展した。モスクワの庶民にとって、牡蠣は一般的な食材ではなく、レストランでしか食べられないものだ。手間なく気軽に牡蠣を楽しめる冷凍牡蠣フライは、来場者に驚きをもって受けとめられた。カン喜の上坂陽太郎代表取締役は、「プーチン大統領の山口来訪とは関係なく、もともと出展することを決めていた。ロシアのスーパーを視察したが、冷凍食品の種類があまり多くないようなので、これからバリエーションを広げられる可能性があると思う」と話している。

牡蠣以上に、ロシア人にとって珍しいのは、冷凍ハマチだ。ハマチは米国や東南アジアなど全世界的に大人気だが、ロシアの日本料理店でよく出るのは、マグロやサーモン、そして鰻といったところである。冷凍と言っても、株式会社True World Japanが扱っているのは、解凍すればそのまま刺身として食べられる鮮度の良い高級品である。同社の大川佳宏氏は、「内陸のヨーロッパ人と違って、ロシア人は刺身好き。ハマチが広まる可能性は十分にある。ただ、ハマチを見て、マグロやサーモンだと勘違いする人もいるので、まずはハマチの知名度を上げたい」と述べた。

一方、ゆっくりと市民権を得ている食品もある。味の素ロシアのセールスマネージャーであるワレリー・ポリャコフ氏は、「モスクワで本物の餃子は、味の素の餃子だけ」と話す。ロシアには、餃子に似たペリメニという料理があるが、ペリメニの皮は分厚く、具も異なっており、餃子のような繊細でジューシーな味わいは無い。ポリャコフ氏は「まずは餃子という存在をロシアで広めたい。餃子が有名になれば、味の素という名前も自ずと知られていくだろう」と自信を見せる。同社の餃子は、すでに日本食レストラン「ヤキトリヤ」、若者に人気のポップな日本食カフェ「WABI-SABI」、居酒屋チェーン「いちばんぼし」等で業務用として採用されている。いずれの店も、モスクワ中の至るところにある。

© Sputnik味の素、餃子をアピール
味の素、餃子をアピール - Sputnik 日本
味の素、餃子をアピール

意外なところでは、抹茶(宇治の露製茶株式会社)も大人気だった。紅茶どころか緑茶にさえも砂糖を入れて飲むのがロシア流であるのに、苦味を含んだ抹茶の風味が受け入れられているのは不思議だ。お茶そのものが本当に美味しければ、甘党のロシア人でも砂糖は要らない、ということの証明かもしれない。

この見本市を利用して、競争の激しいロシアのマヨネーズ市場に食い込んでいるのが、ケンコーマヨネーズである。ケンコーマヨネーズ株式会社はジャパンパビリオンに3年連続出展しており、すでにプレーンマヨネーズと金ごまドレッシングは業務用に流通している。従来は賞味期限が5か月程度だったノンオイル系のドレッシングも、10か月まで伸ばすことに成功。今年は商品ラインナップを広げての出展となった。ロシア人はマヨネーズが大好きで、その消費量は世界一とも言われている。

今回、初出店にして高い評価を得たのが日本の乳製品だ。ロシアでは小さなスーパーであっても巨大なチーズを量り売りしており、食べるときは包丁で切る必要がある。しかしマリンフード株式会社のキャンディチーズは一口サイズで、セロファンで個別に包装されており、手を汚さずに食べられる点がロシア人の興味を引いた。遠方から来たレストランのオーナーシェフは、「美味しい上に便利。レストランのお客さんへのプレゼントとしても使える」と大満足だったが、まだロシアで販売開始していないことを知り、落胆していた。同社の燻製バターもロシア人の好みに合致し、大いに受けていた。マリンフード株式会社・販売開発室国際課の鈴木陵氏は、「ブースを訪れる人は評価をしてくれるので良いことですが、やはりロシアでパートナーとなってくれるディストリビューターを見つけ、直接販売したい」と話していた。

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マリンフードのブース - Sputnik 日本
マリンフードのブース

日本企業11社はジャパンパビリオンとして集合して出展している。ロシアではもともと日本のイメージが良く、日本産品に対して信頼感、安心感があるため、オールジャパンの集合パビリオンが威力を発揮するというわけだ。しかし、見本市の反応と、ビジネスの成功は、イコールで結びつくものではない。

ロシアに販路を広げたい日本企業にとって最大の課題は「信頼の置けるディストリビューターを見つけること」である。4年連続でPIRのジャパンパビリオンを手がけているJETROモスクワ事務所の島田憲成氏は「最終顧客であるレストランなどで需要があっても、すぐに販売が伸びるというわけではない。いかにJETROがサポートしながら、事業者の皆様に良いディストリビューターを見つけて頂くかが課題だ」と指摘している。

JETROは展示会の他にも、モスクワやウラジオストクから有力なバイヤーを日本に招き地元メーカーとの商談をセッティングしたり、売買や投資などのビジネスマッチングができるオンラインサービスを運営したりして、日本産品の輸出促進のため様々な手法を組み合わせている。島田氏は「ルーブル安であるとはいえロシアが日本にとって輸出重点国であることには変わりないので、地道に続け、結果を出していきたい。事業者にとって、ロシアが輸出の柱になる位までサポートすることができればよい」と意欲を見せる。食品ではないが、JETROがサポートした例としては、熊野化粧筆メーカー・瑞穂のロシア販路開拓がある。同社の化粧筆はモスクワ女性御用達の高級化粧用品チェーン「リトアーリ」で販売されており、今では瑞穂にとってロシアが最大の海外市場となっている。

様々な国での食品展示会を手がけてきたJETRO農林水産食品部の内川未来氏は「今回はロシアの市場を視察し、何らかの足がかりを作りたいという事業者が集まった。ロシアでは日本食が認知されており、存在感がある。このアドバンテージを生かし、正しい日本食を知ってもらえれば、ビジネスが広がる可能性があるのではないか。しかし物流などのネックはある」と話していた。ロシア人の日本食好きは有名だが、日本食レストランの数が増えすぎ、その質は玉石混交だ。もはや何をもって日本食と呼ぶのかわからなくなっている。

今年9月、ウラジオストクで行われた東方経済フォーラムで安倍首相は「これまで以上に力強く、日本企業によるロシアに対するビジネスを支援していきたい」と発言していたが、為替レートの問題もあり、まだ個々の企業が恩恵を受けているとは言いがたい。日露がかつてなく接近している今、ビジネス界への波及効果加速にも期待したい。

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