しかし、数々の措置が取られたにもかかわらず「アル-ヌスラ戦線」はその同盟者と共に、アレッポへの攻撃を強化した。ロシア国防省のイーゴリ・コナシェンコフ報道官が伝えたところでは、戦闘員らは、ここ数日、いかなる犠牲を払っても、アレッポの外環状を突破することを目指している。
「米国大統領選挙まで、残すところ数日となった。それゆえ、この間に誰もアレッポを手に入れられないだろうというのはよく理解できる。ロシアの課題は別である。新しい大統領がホワイトハウスに入る1月20日までに町を解放することだ。米行政当局とは、大変真剣な話し合いが待っている。我々は、今後どう生きてゆくのか、どういった方向で今後協力してゆくことができるのかを討議しなくてはならない。ロシアがそうした交渉で、確信を持てるようにするためには、交渉のテーブルからアレッポの地図を取り去ってしまう必要がある。まず第一に必要不可欠なのは、一部の西側マスメディアの主張によれば、ロシアによる空爆下に置かれているというアレッポ住民の人道的苦難に関する問題をなくしてしまうことだ。 一方今言われている人道的戦闘行為休止は、ロシアの完全な善意による行動である。休止の間、戦闘員とも、あるいは彼らを養うスポンサー達とも秘密交渉が可能だ。この事について今できるのは予想だけだが、一つだけ明らかなことがある。それは、休止が長引くのはロシアにとって有益ではないという事だ。」
そうなれば、イラク北部のモスルで包囲下にある「ダーイシュ(IS)」の戦闘員らに、みすみす町を離れるチャンスを与えてしまうから、なおさらロシアには不利益である。この事は水曜日、レバノンのTVアル-マヤディンがイラクのクルド人政府消息筋の話を引用して伝えた。それによれば、ISの戦闘員らは、南側の出口を通ってモスルから逃れることができる。そこからさらに彼らは、障害なく隣のシリア領内に入ることが可能だとのことだ。そうした事が、ロシアの利益に全くならないことは理解できる、しかし米国の戦術から言ったら、おそらく都合がよいのではないか?
これについてミルザヤン准教授は、次のように考えている-
とはいえアレッポやモスルでの作戦が、具体的な成果をあげないとしても、いずれにしても作戦は、露米交渉の外交面でのさらなる発展につながるのではないか、これについてミルザヤン准教授は、次のように指摘している-
「現在米国のオバマ政権は、事実上もう権限を持っておらず、新しい行政府もまだこれから形成されようとしている段階だ。普通こうした時期に米国人は、何らかの強硬な措置を取らない傾向にある。これはロシアがアレッポ解放のために利用できるチャンスとも言える。なぜならこの問題はすでに議題から取り去られ、政権の座に就く新しい行政府は、彼らが今ある状況を受け入れざるを得なくなるからだ。アレッポが解放され、そこに平和な生活が復活し、再び病院や学校、大学が活動を始める。まさにそうなることで、シリアをめぐる対米交渉におけるロシアの立場は、著しく強いものになるに違いない。」