ロシア人ビジネスマンの横顔:日本滞在で彼らが得たものとは?

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今月、貿易経済交流発展のための日本センター、連邦人材センター、在ロシア日本国大使館の共催で、「フォローアップセミナー」が行われた。この催しは、過去に日本センターが主催する訪日研修に参加したビジネスマンらが参加し、文字通り彼らのフォローアップを行うものだ。

日本センターは、日露ビジネスの牽引役となるロシア人ビジネスマンの訪日研修に力を入れている。「カイゼン」「IT化と都市インフラ」「ロジスティックス」などといった特定のテーマごとに、数回の面接を経て参加者を選出するOJT研修では、企業視察のみならず実務研修を行い、より効率的な習得ができるようになっている。

これまでの訪日研修にはロシア政府肝いりの「企業経営者養成計画大統領プログラム」の修了生と、一般公募枠で合格した人が参加してきた。このプログラムは1997年、ロシアが市場経済に移行するにあたって若手人材を育成する必要に迫られ、当時のエリツィン大統領のイニシアチブで始まったものである。受講者は3か月から半年程度、ロシア各地の教育機関でミニMBAとも言うべき講座を受ける。毎年、約5000名がプログラムを修了するが、そのうち海外研修に行けるのは600名程度、特に成績優秀な者だけである。行き先はドイツやフランスなど色々あるが、日本はこれまで公募を含め5000名以上の修了生(2016年度予定者を含む)を受け入れており、伝統的な研修先となっている。

大統領プログラムは、日本センターのパートナーにあたる連邦人材センター(ロシア経済発展省の傘下組織)によって実施されてきた。同センターのウラジーミル・ダンシン副所長は、自国の優秀な人材が日本で研修を受けることについて「大統領プログラムの修了生が日本で再教育の機会を得ることができ、企業管理の新しいメソッドを知ることができるのは大変すばらしく効果的だ。実際に日本へ行くことによって人と人との相互理解が進み、研修の更なる効果が期待できる」と話している。

セミナー後の懇親会では、訪日研修参加者の生の声を聞くことができた。モスクワ大学ビジネススクールで「カイゼン」を教えるヴャチェスラフ・ボルトルケビッチ氏は、ある企業を訪問したときのことが忘れられないという。

ボルトルケビッチ氏「多くの企業を訪れましたが、イーグルバス株式会社(埼玉県川越市)が一番印象に残っています。大変良い会社で、効率的に仕事がなされていると思いました。代表取締役の谷島賢さんが私たちと直接会ってくれて、会社を再生するためにどのような取り組みを重ねたのか話してくれ、本当に面白かったです。」

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ボルトルケビッチ氏(左から2番目) - Sputnik 日本
ボルトルケビッチ氏(左から2番目)

ニージニー・ノヴゴロドでIT会社「IT-Relax」を経営するビクトル・コロリョフ社長は、2011年に大統領プログラムを修了し、2015年に訪日研修に参加した。IT-Relaxは中小企業向けにサービスを展開しており、ロシア国内に6箇所ある日本センターのシステムをつなぐITサービスを提供している。コロリョフ氏は「研修の行き先には様々な選択肢がありましたが、最初から日本を希望しました。研修で訪れたどの会社にも感銘を受けましたが、NECと東芝は特に印象に残っており、私たちのビジネスに直結する知識を得ることができました」と話している。

コロリョフ氏はまた、オンライン教育サービスを展開するサンクトペテルブルグのIT会社「ドニェブニク(日本語で学習帳、の意)」の沿ヴォルガ連邦管区の責任者でもある。コロリョフ氏は機会があれば、教育とITというテーマで再度研修に訪れたい、日本の教育システムを研究し、日本のオンライン教育の利点を自社のサービスに取り入れたいと意欲を見せている。

訪日研修では、参加者同士の横のつながりも生まれる。大統領プログラム修了者で、2014年に「都市環境ごみ処理」のテーマでOJT研修に参加した、ピョートル・カザンツェフ氏。現在、公共株式会社「ツェントル・リソース」でごみ処理問題のプロジェクトマネージャーを務めている。カザンツェフ氏は研修でロシアの都市環境整備の第一線で働く素晴らしい仲間と出会い、その後現在のプロジェクトを担当することになった。カザンツェフ氏によれば、ロシアのごみ処理問題へのアプローチは、まだ形成段階にある。日本やヨーロッパがどのように問題に対応しているのかを学び、研修で見聞きしたことを議論し、何が実際に応用できるのか検討を重ねている。研修で得た人的な繋がりは、現在の仕事に大きく貢献しているという。研修のスケジュールは非常にタイトだったが、束の間の自由時間もあった。

カザンツェフ氏「研修が終わって夜、東京の街を歩いてみると、困っていることはないか、たくさんの人が声をかけてくれて嬉しかったです。ある日、工場の視察があって、ちょうど鎌倉の海岸に居合わせました。とても暑い日で、全員スーツとネクタイでしたけど、服を脱ぎ捨てて水に浸かりました。ロシア人の集団が一気に海に入りだしたので、みんな笑っていましたよ。」

カザンツェフ氏によると、研修メンバー全員、日本の大ファンになって帰ってきたということだ。

セミナーの挨拶の中でモスクワ・ジャパンクラブの池村圭司理事長は「経済交流の拡大には個人レベルの交流が不可欠。訪日研修を終えた方々への期待は高まるばかり」とエールを送った。
日本センターは日露政府間の合意に基づいて活動しており、外務省の委託を受けて様々な事業を展開している。スプートニクでもご紹介した日本語会話クラブ日本の企業文化に関するセミナーもその一つだ。今後も、日露ビジネスに貢献する人材がここを拠点に交流を深めることが期待できる。

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