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11月28日、菅官房長官は、クリル群島の四島の帰属が確定してはじめて平和条約調印がなされるとの立場を示した。その上で菅氏は平和条約締結は簡単ではなく、一歩一歩前進することが必要だとの安倍首相の言葉を繰り返した。一方日本の世論には変化がみられる。日経新聞が11月25-27日行った調査では半数以上がロシアに対する譲渡要求はクリル諸島の南部だけでよいとしている。四島全部の譲渡を要求すべきだとしたのは29%にとどまった(情報分析ポータル「ネフチ・ロシーイ」イーゴリ・ベリャーエフ氏「平和条約問題」、12月1日)
日本はロシアと「戦術的」でなく「戦略的」な関係改善を図っている。東アジア諸国、とくに中国は、もう日本の支援を必要としないほど成長した。そこで投資先として、開発が不十分で、将来的に一番有望な、ロシア極東とシベリアに目が向いた。先見の明のある者たちは、早くしないとニッチが中国と韓国に占められてしまうと理解している。だから経済協力活発化を急いでいるのだ。(東方諸国研究所教授、歴史学者、露日関係専門家アナトーリー・コーシキン氏、ロシア新聞「日本にとりロシアとの正常な協力関係が大事」アレクサンドル・レニン氏、11月29日)
現在の状況では、日本に一番小さな島をひとつ渡すだけでもアジア太平洋地域の情勢が不透明になり、どころかグローバル安全保障システム全体にとって非常に危険な前例を作ってしまう。サハリン大学の学生に行った調査では、学生の大部分が、「日本の領土要求に反対する抗議行動に積極的に参加する」と述べている(情報通信「サハリン・インフォ」ナタリヤ・ゴルブコワ氏、「サハリン大学の学生の多くがクリルの日本への譲渡に反対」11月30日)
日本のメディアで、ガスパイプライン幹線「サハリン-北海道」の建設についてのガスプロムの交渉が12月半ば東京で行われる、と報じられた。16日にはプーチン大統領訪日にあわせて露日経済フォーラムも開かれる。ロシアとのエネルギーブリッジで、ガス供給が安定し、価格も下がる。天然ガスの世界最大の輸入国たる日本にとってそれは極めて重要だ(情報通信「サハリンメディア」、「サハリン-日本ガスパイプライン交渉が12月半ばに完了するかもしれない」12月1日)