とはいえ、会談の参加者らの目的は協力強化の確認だけではすまなかった。日本にとって米国防長官を迎え入れるということはロシア大統領の訪日を控え、ロシアとの経済協力の拡大がある今、特別な意味を帯びたものだ。米国側の目的はおそらくもっと具体的なものだった。カーター長官の「いずも」上船はF-35Bの移送を控えた岩国基地をオバマ大統領が視察したことを思い起こさせる。いずれも同じ課題を負ってのもので、つまり船の戦闘準備体制をチェックしたわけだ。
日本の情報筋によれば、「いずも」2番艦の「かが」の主な課題は潜水艦対策、人道作戦、災害復興援助の参加。だが「いずも」は航空機用、敵のいると思われる沿岸部へ海兵隊を移送、パラシュート部隊の上陸などの課題にも中間的な浮遊航空基地として用いることができる。転換式航空機を用いた訓練が開始されたのはそもそもヘリの使用が、例えば北朝鮮との仮想の紛争があった場合、「いずも」では沿岸部にあまりに接近し、北朝鮮のボートやモスキートフリート級の船、また沿岸用ミサイル複合の接近を許しかねないという前提に基づいてのことだった。転換式航空機は射程690キロで、こうした課題をこなしてしまう。
同盟国間で防衛負担を分担するというトランプ氏の公言は新しい物ではないと思う。第2次世界大戦後、米国の参加した軍事紛争の歴史を見れば、米国の司令部は米国の目的に米軍以外の軍事力を用いることに反対ではなかったことがわかる。1969年のベトナムでメルヴィン・レイルド国防長官が語った「ベトナム戦争」についての構想を思い起こすだけでも十分だ。このことから米国が北朝鮮との軍事紛争を思いついたり、もしくはそうした可能性を検討したとすれば、日韓は同盟国とみなされ、戦争の重みも主な人的損害も肩に乗せられることになる。これは日本に必要なことなのだろうか?
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