スプートニクは、長期にわたって日露関係改善の重要性を訴えている、一水会の木村三浩代表に話を伺った。プーチン大統領来日直前のこの数ヶ月は、木村氏のスケジュールもタイトだった。11月は毎週日曜日に東京中心部の街頭に立ち、ロシアとの関係改善を訴える演説を行った。中には物珍しく見る人もいたが、「その通りだ。頑張ってください」と声をかけてくれる人もいた。テレビ出演、雑誌での対談、講演、デモ行進などに加え、自ら東京と岡山で日露平和条約締結促進国民大会を主催し、東京大会では一般参加者が100名以上集まる盛況ぶりだった。大会ではロシアへの敬意を表し、日露両国の国歌を演奏。参加者からは「感動した」との声が上がった。木村氏の主張は一貫している。「クリミア併合を承認し、ロシアへの経済制裁をやめるべき。領土交渉を前進させ、ロシアと平和条約を締結することは日本の国益にかなう」ということだ。
今回の訪日スケジュールについて木村氏は、「安倍首相の地元でもてなすというアイデアは、気持ちが入っており、良かったと思います。明日のプーチン大統領の東京訪問には米国が難色を示していましたが、安倍首相の意思で東京訪問が実現したということが重要です。日本は米国から自立し、自主的な外交をするべきなのです。過密スケジュールですから仕方ありませんが、大統領が一般人と触れ合う機会がないのは残念です。普段ロシア大使館でやっているように、ロシアとの交流に寄与している民間人との時間を持てれば、ロシアが身近になり、『開かれたロシア』のイメージを作ることができたでしょう。また、明治天皇を祭神とする明治神宮を訪れて頂きたかった。そうすれば、日露和解のシンボルになったのではないでしょうか」と話す。
木村氏は12月11日に都内でデモ行進を行った際、「四島を追う者は二島をも得ず・日露平和条約の締結促進と領土交渉の前進を」というキャッチフレーズを掲げた。木村氏は、「日露間に平和条約が締結されることが私の夢。2018年の大統領選でプーチン氏が再選し、2019年に平和条約が締結され、2020年に歯舞・色丹が返還されれば理想的。日本はそのために環境整備を進めなければ」と述べている。
また、木村氏はロシア本土での日露経済協力はどんどん発展させるべきだと話し、係争地域での共同経済活動にも賛成の立場だ。「北方領土に関しては、経済特区を新設することができれば、日本企業もやりやすいのでは。簡単なことではありませんが、主権というよりも管轄権の問題を日露でよく協議して、第三の道を模索してほしい」と期待を見せる。
これまで日露関係が、これほど熱意をもって日本メディアで取り上げられることはなかった。木村氏は「メディア報道の過熱で、首脳会談に対する期待値が上がりすぎているのではないか」と懸念を見せる。もし思うような結果が出なければ、再びロシアに対する国民の不信感や、安倍首相に対する失望が生まれてしまうかもしれない。木村氏は「期待値を上げすぎず、粛々と見守るべき」と話す。プーチン大統領の到着が大幅に遅れたことについて、これもロシアの戦術ではないかと勘繰る向きもあるが、木村氏は「そういうことは言うべきではありません。遅刻は注目する部分ではありませんし、よくあることです。何よりも肝心なのは首脳会談の中身です」と冷静に見守る。